総額470億円!ISSの退役を見据え、NASAが商業宇宙ステーション開発企業3社を支援【宇宙ビジネスニュース】
【2021年12月13日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
12月3日、NASAは独自に宇宙ステーションの開発に取り組む企業に「スペース・アクト協定」として、総額4億1,560万ドル(約470億円)を支援することを発表しました。これはISSの退役を見据えたものだと見られています。
最も多い1.6億ドル(約180億円)を獲得したのは、Lockheed MartinとVoyager Spaceと共同で商業宇宙ステーション「Starlab(スターラボ)」の構築を計画しているNanoracksです。Starlabは2027年に初期運用を開始し、将来的には有人飛行も予定されています。
Sierra Space と共同で商業宇宙ステーション「Orbital Reef(オービタル・リーフ)」の構築を計画しているBlue Originは、1.3億ドル(約150億円)を獲得しました。Orbital Reefは2020年代後半に運用が開始される計画です。
そしてNorthrop Grumman Systems Corporation(以下Northrop Grumman)は、1億2,560万ドル(約140億円)を獲得しました。Northrop Grummanは月を周回する「月軌道ゲートウェイ」の居住用モジュールの開発企業に選ばれています。
地球低軌道の宇宙ステーションについても、Dyneticsと構築の計画を進めていて、数カ月以内に新たに加わるパートナー企業を発表するということです。
スペース・アクト協定は大きく2つのフェーズに分けられています。今回のフェーズは、2025年までに、企業がNASAと協力して、政府や民間企業の潜在的なニーズに適した商業低地球軌道の目的地機能を策定・設計するもの。その後は、具体的な開発や打ち上げに移っていくものと見られます。
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参考
NASA Selects Companies to Develop Commercial Destinations in Space
NASA Selects Orbital Reef To Develop Space Station Replacement