アメリカ政府の地球観測衛星Landsat-9画像の無料公開開始!【宇宙ビジネスニュース】
2022年2月10日、Landsat 9の衛星画像の無料公開が開始されました。これまでのLandsat 8と何が違うのか。また、今後の展望をまとめています。
アメリカ地質調査所(USGS)のシリーズ衛星の最新機、Landsat-9が、衛星画像の無料公開を開始しました。
アメリカの地球観測衛星Landsatシリーズ
Landsatプログラムは1972年に打ち上げられたLandsat-1から50年以上続く、地球観測衛星プログラムです。Landsat-7と8が現在運用中で、ここに新たにLandsat-9が加わったということになります。
Landsat-9の特徴
Landsat-9は、観測波長や解像度などは前号機であるLandsat-8と同スペックとすることで、2013年から観測を続けているLandsat-8が撮影するデータとの互換性を有した設計となっています。2021年9月の打ち上げ後、センサの初期校正では、Landsat-8との互換性のチェックも実施されています。
一方で、性能が上がったのはピクセルあたりの明るさの階調「ビット深度」です。Landsat-8では4,096階調(12bit)だったビット深度が、Landsat-9では16,384階調(14bit)になっています。ビット深度が大きくなると、水上やアマゾンなどの暗い場所でのわずかな違いを検出することできるようになるため、より詳細に地表面の様子を知ることができるのです。
さらに、同スペックの衛星が2機となったことで協調した運用を行うことが可能になり、これまで16日だった観測頻度が半分の8日になります。撮影されたデータは撮影後数時間で一般公開されるとのことで、公開までの時間の短さも注目ポイントです。
政府衛星に求められるデータの継続性
政府の地球観測衛星(光学・SAR)は地球の変化を長いスパンで捉えるという観点から、衛星1機打ち上げて終わりではなく、継続的に衛星を打ち上げていく大きな計画が重要です。アメリカではLandsatシリーズが、ヨーロッパではSentinelという衛星シリーズが長期で計画されています。
日本でも宇宙基本計画において、ALOS-3(光学)、ALOS-4(SAR)の打ち上げが予定されています。しかしながら、ALOS-3(光学)の前号機であるALOS-1(光学)は運用を停止しており、データの継続性を確保できていません。
ALOS-4(SAR)の前号機ALOS-2(SAR)も、設計寿命5年、目標7年で作られている衛星であり、2014年に打ち上げられ目標の2021年を越えて運用中です。ALOS-2が動かなくなる前にALOS-4が打ちあがり、SARデータの継続性を確保することが望まれています。
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参考
Landsat 9 Data Release Extends Unparalleled Earth Observation Archive