宙畑 Sorabatake

ニュース

サグリ、衛星データ×AIで作付け調査を効率化する新製品を発表。山口県との実証実験を活かす【宇宙ビジネスニュース】

【2022年6月20日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

6月16日、衛星データとAIを活用して農業問題の解決に取り組むスタートアップ企業サグリが、作付け調査を効率化するアプリケーション「デタバ」をリリースしました。

全国の市町村が運営する地域農業再生協議会は、作物が申請通りに作付けされているかどうかを調べる作付け調査を実施しています。通常、作付け調査は、広範囲に及ぶ農地を営農計画書に沿って1つずつ目視で行われるため、地域農業再生協議会の大きな負担となっていました。

Credit : サグリ

今回サグリがリリースした「デタバ」は、山口県が進めるデジタル技術を活用して地域・行政課題を解決するプロジェクト「シビックテックチャレンジ YAMAGUCHI」の一環で実施された実証実験で得られた、衛星データによる高精度な作物判定モデルが活用されています。実証実験では、山口県内の4市町村で衛星データによる作物分類を行い、約8割以上の精度を実現しました。

Credit : サグリ

また、サグリは来期以降のデタバの導入を見据えた実証実験を行う地域農業再生協議会を募集することを発表しました。同実証実験は無償で、すでに岐阜県下呂市役所が実証実験を行うことに合意しているといいます。

さらに、サグリが提供している衛星データによる農地パトロール調査を効率化するアプリ「ACTABA(アクタバ)」を神戸市農業委員会が導入することを6月13日に発表しました。

Credit : サグリ

サグリと神戸市農業委員会は、長期間作付けしていない農地の増加を防ぐための調査や資料作成の効率化を目指し、共同で実証実験を行っていました。2021年に神戸市農業委員会を取材した際、担当係長の古川聖也氏は、

「神戸市は5000haの農地があり必ずしも平地ばかりではありません。50人と事務局の状況では、全ての農地を網羅しているとは言い難く、ある程度優先順位を付けて『守っていかなければいけない農地』を見回っています」

と、限られた人材では全ての農地を調査できないという課題を抱えていたことを話していました。今回神戸市農業委員会がアクタバを導入したのは、実証実験で作業が効率化させられることが実感できたからだといいます。

このような導入実績が出てくることで、衛星データを活用したソリューションの活用はさらに進んでいくのではないかと見られます。

宙畑編集部のおすすめ関連記事

今週の宇宙ニュース

参考

衛星データで作付け調査を効率化するアプリケーション“デタバ”を発表

関西初!神戸市農業委員会が「ACTABA(アクタバ)」を導入!

Share

衛生データに無料で触れる Tellusを試してみましょう 登録して使ってみる