宙畑 Sorabatake

衛星データ入門

「Made in 宇宙」のプレゼント。 ソニーGの宇宙事業のサービスプランが明らかに

ソニーGの宇宙事業のサービスプランが発表されています。その金額やサービス内容について、整理し、どのような利用事例が産まれそうなのかをソニーGの見座田さんに教えていただきました。

先日、STAR SPHEREのクラウドファンディングが開始され、ソニーGが独自に開発する人工衛星を用いた撮影サービス内容について、その輪郭が明らかになってきました。

本記事では、そのサービス内容と、全人類に人工衛星の撮影権が解放されることによって、どのような新たな衛星データの利用法が誕生しそうなのかという2点を紹介します。

(1)人工衛星の撮影前後の体験にも様々なエンターテイメントを、「STAR SPHERE」のサービスプラン

まずは、クラウドファンディングで明らかになったサービスプランから紹介します。

①衛星データの撮影サービスは大きく分けて2種類

現在のSTAR SPHEREの衛星データ撮影サービスには2つの選択肢があります。

・10秒間、静止画1枚の衛星データ撮影サービス

1つは、1〜2万円であらかじめ決められた撮影区間をソニープロジェクトメンバーや著名人(特別ゲスト)が計画し、その計画に相乗りする形で10秒間以内に静止画を1枚撮影できるというもの。

「特別ゲストは現時点では公表できませんが、複数名いる」との説明もあり、どのようなツアーが計画されるのか、とても楽しみですね。

・10分間、撮影したい日付、撮影したい被写体、カメラワークなどをお好みで計画できる衛星データ撮影サービス

もう一つの撮影サービスは、50万円で、自分だけの撮影計画を立てて、10分間以内に静止画30〜50枚、もしくは、動画30秒分の衛星データを撮影できるというもの。

50万円と聞くと高い…!という印象を持たれるかもしれませんが、国際宇宙ステーション(ISS)に旅行でいくには少なくともその10000倍の50億円が必要になります。宇宙飛行士がISSから撮影したような写真を自分で自由に撮れる権利と考えると、安いと思われる方もいらっしゃるでしょう。

ちなみに、今回のサービスプランでは、万が一を考慮して、5万円で本サービスプランの予約券を購入し、動作確認が出来たタイミングで45万円を支払うという形になっています。

(2)母への宇宙旅行プレゼント、人間の営みを考えたい……ソニーGも想定していなかったSTAR SPHEREの利用法

宙畑は、STAR SPHEREについて、宇宙飛行士の特権だった宇宙からの地球/宇宙を被写体にした撮影権が、より多くの人の手に届くものになったサービスと考えています。

では、どのような目的でSTAR SPHEREの撮影サービスが利用されるのでしょうか?

STAR SPHEREのプロジェクトメンバー、見座田さんによれば、とてもユニークな利用方法を考えて申し込みをしてくれる方もいたそうです。その内容を幾つか抜粋して教えていただきました。

自ら宇宙から地球を撮影したい

まずは、STARSPHEREで地球の写真を撮影してみたい!というストレートな思いです。

自分の手で、宇宙からの地球の姿を撮る事ができるなんて、考えるだけで感動します!ワクワクしすぎて手が震えないか心配なくらい、ワクワクしています!

自分が生きてる間に宇宙に行けなくても、せめて宇宙の写真を自分自身で撮る事が出来たら本望。チャレンジ精神が再び沸き上がってきて寿命が延びたような気がします。

宇宙視点を持ちたい

地球を俯瞰して見ることで、宇宙視点を持ちたいというコメントも集まっていました。

「母なる地球から守るべき地球へと想いが変わった」 地球の上に立っていると自覚出来ませんが、このプロジェクトをきっかけに新しい視点で考えていければと思いました。

宇宙を通して人間の営みを考えるってめちゃくちゃ面白そう!ソニーならではのワクワクと挑戦に期待しています!

何かしら忘れてしまった大事な事を取り戻すきっかけの一つとして、俯瞰的に宇宙から地球を眺めるムーブメント、にもなると思います。

大切な人へ/故人から自分へのプレゼント

誰かへのプレゼントとして購入、大切な故人からのプレゼントと思って購入したというコメントもいくつか見られました。

コロナ禍で旅行に連れて出て歩くことができなくなった母とともに、宇宙旅行と第1期生を楽しみにしています!皆を宇宙空間までつれていってください。

妻が星空をみるのがすごく好きなのでプレゼントします。今回は、星空(宇宙)から地球を観るという逆の観測ですが(笑)

銀婚式の記念に。夫は3年前、天国へ旅立ちました。
夫からの贈り物だと思いいてもたってもいられずに申し込みました。

思い出や過去の気持ちをもう一度

また、ユニークな利用法としては、セスナ機の遊覧で観た景色をもう一度宇宙から見たいといった思い出の地を宇宙からも見てみたいというコメントも寄せられていました。

撮りたい場所があります。セスナ機の遊覧で観たあの場所を再度宇宙から観てみたいので応募しました

その他

上記で紹介した以外にも、プロジェクトへの共感や、憧れの場所だった宇宙が身近になったなど、様々なコメントが「STAR SPHEREを利用したい!」と思った理由として寄せられていました。

あまり宇宙については考えないタイプの人間なのですが、不思議とワクワクする自分がいたので支援させていただきました。

子供のころから好きだった宇宙のことが、最近になってまた特に気になり始めていた矢先に本プロジェクトを知りました。とても期待しています。

宇宙に興味や憧れはあるが、正直、難易度が高い。当プロジェクトの考えに共感すること、何より、参加する気分になれることが、凄く嬉しくて!

以上、現在のSTAR SPHEREの利用法について、寄せられているコメントを整理してご紹介しました。あらためて、STAR SPHEREを利用したいと考える方は、それぞれの様々な目的があると分かります。

これまで衛星データと言えば、国や企業の課題を解決する手段として活用されることがほとんどでした。

その一方で、STARSPHEREでは、個人の思いや願望を叶えるために衛星データを使いたい!という声が集まっています。すでにクラウドファンディングの支援者は300人を超えており、今後も衛星データに興味を持つ人が増えることは宙畑として嬉しい限りです。

(3)撮影できる衛星データのイメージトレーニングにTellus Travelerを使ってみよう

STAR SPHEREの第1期クルーの申し込みは2022年8月23日(火)まで。興味がある方はぜひ申し込んでみてください。

また、どのような衛星データを撮影できるのかいまいちピンとこない、申し込まれた方でもどのような衛星データを撮影するか迷う……という方もいらっしゃるかもしれません。

そのような方はぜひ「Tellus Traveler」や「EO Browser」といった衛星データのアーカイブを探索できるツールを使ってみてください。

Tellus Travelerでは、日本が開発した様々な種類の衛星データを確認できます。日本を撮影したいという方はぜひ一度触ってみてください。使い方は以下の記事にまとめています。

また、EO Browserでは、全世界の任意の季節・時期の確認ができます。自分でツアーを計画する予定だという方は、季節によって地上の状態の変化が変わることを把握したうえでツアーを計画するのがおすすめです。

最後に、TellusやEO Browserは地球の特定の場所を撮影したい!といった時の参考にご利用ください。STAR SPHEREでは地球だけでなく、宇宙空間の撮影もできる予定です。地球の特定のポイントと宇宙空間を一緒に撮影したい!という方は既存の衛星データと合わせてある程度の妄想力が、良い写真を撮影する上では求められるでしょう。