地球観測サービスを提供するPlanet、衛星通信事業者とソリューション開発へ。数分以内のデータ配信目指す【宇宙ビジネスニュース】
【2022年8月29日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
8月23日、地球観測サービスを提供するPlanet Labs (NYSE: PL)は、衛星通信事業者SES Government Solutions(以下SES)とTelesat Government Solutions(以下Telesat)がそれぞれ実施する、低軌道衛星から通信衛星にリアルタイムにデータを送信する実証実験の参加企業として選ばれたことを発表しました。
SESとTelesatは、データ中継衛星システム(TDRS)の後継を構築するNASAの「Communications Services Project(通称CSP)」に採択されています。
宙畑メモ:データ中継衛星システム(TDRS)
アメリカが打ち上げた中継衛星のことを指します。ISSのほか、日本の宇宙ステーション補給機や衛星の運用にも利用されています。NASAは現在稼働しているTDRSの一部を数年以内に廃止する計画を発表し、それに代わる中継衛星を開発するCommunications Services ProjectでSpaceXなど6社を採択しました。
PlanetはSESと共同で、中軌道(MEO)と静止軌道(GEO)衛星と接続することで、低遅延な接続が可能なソリューションを開発し、実証します。Telesatとは、地球観測衛星に搭載するRF(高周波)端末の開発に取り組みます。このRF端末は、地球観測衛星からTelesatの衛星に接続し、ハイスループットなデータ伝送を実証します。
Planetは2023年から打ち上げを開始する次世代衛星ペリカンを利用しての技術実証を検討しているといいます。プレスリリースで、Planetは
「衛星間リンク機能により、顧客へデータを配信する速度が飛躍的に向上し、既存の衛星コンステレーションではデータ配信に数時間単位の時間がかかっているものが、将来のシステムでは数分に短縮され、災害対応から国家安全保障までの幅広いアプリケーションでユーザーに価値をもたらすと期待しています」
と説明しています。
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参考
Planet to Provide Real-Time Data and Connectivity Solutions for NASA’s CSP
NASA, Industry to Collaborate on Space Communications by 2025