小型衛星ベンチャーSpireが電離層の特性を研究する衛星設計をDARPAから受注【宇宙ビジネスニュース】
【2022年11月7日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
11月1日、超小型衛星事業者Spire Global(以下Spire)は、上空70〜500kmにあたる電離層における高周帯(HF)電波の伝搬について調査する超地球低軌道衛星を設計する契約を米国防高等研究計画局(DARPA)から受注したことを発表しました。
宙畑メモ 超地球低軌道
超地球低軌道(Very Low Earth Orbit、通称VLEO)とは、高度200〜300kmの超低高度のことを指します。
今回Spireが契約を受注したのは、DARPAの地球低軌道衛星を利用した高周帯電波の研究プログラム「Ouija」の一環です。DARPAによると、アメリカ軍は高周帯無線通信を多く利用しているため、電離層についての理解を深める必要がありましたが、これまでは地上からの観測が中心でした。衛星から得られるデータは、貴重な情報源になるのではないかと考えられます。
Spireは2022年9月に、アメリカ海洋大気庁(NOAA)から気象予測の精度向上のために使用されるハイパースペクトル・マイクロ波センサーの開発を受注するなど、気象分野の衛星開発にも積極的です。
電離層の特性が明らかになり、新たな技術革新に繋がることを期待します。
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参考
DARPA Awards Spire Global Contract to Design Satellite
DARPA Seeks Ionospheric Insights to Improve Communication Across Domains
Spire Global Awarded $4 Million NOAA Contract to Deliver Hyperspectral Microwave Sensing Payload