国連、COP27で衛星データを利用したメタン検知システム「MARS」を発表。排出元に通知し、排出量削減を目指す【宇宙ビジネスニュース】
【2022年11月28日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
11月6日から18日にかけて、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議 (COP27)がエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されました。
そのなかで、国連環境計画(UNEP)は、衛星データを活用して温室効果ガスのひとつであるメタンの排出を検知し、排出元の国や政府に知らせるシステム「Methane Alert and Response System(MARS)」を発表しました。
メタンの排出が検出された後、データは45日から75日の間に一般に公開されます。
宙畑メモ
MARSは、欧州委員会と米国政府、Blue Originの創業者であるジェフ・ベゾス氏が立ち上げた「ベゾス・アースファンド」などから資金援助を受け、「グローバルメタン誓約エネルギーパスウェイ(Global Methane Pledge Energy Pathway)」の枠組みで開発されます。
MARSにデータを提供する衛星の詳細は明らかになっていませんが、「最先端の衛星データを使用する予定」だといいます。
宙畑メモ
各国の宇宙機関や民間企業がメタンの排出量を観測できる衛星を打ち上げています。
【保存版】環境問題を可視化する衛星データまとめ〜環境問題の指標・世界の取り組み・利用できる人工衛星〜
国際エネルギー機関(IEA)の事務局長であるファティ・ビロル氏は、
「MARSは、大規模なメタン漏れをピンポイントで特定するための新しい重要なツールです」
とコメントしています。
宙畑編集部のおすすめ関連記事
GHGSatが新機能「SPECTRA Premium」を発表。世界中の6ヶ月間の総メタンガス排出量を提供【宇宙ビジネスニュース】
Planet Labsがメタンガス検出を目的とするハイパースペクトル衛星を発表【宇宙ビジネスニュース】
衛星データでパイプラインから漏出するメタンを検出。点検作業の効率化を実現【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/3/1〜3/7】
今週の宇宙ニュース
オリオン宇宙船がついに月へ。相乗りしたJAXAの探査機「エクレウス」には水推進エンジンが搭載【宇宙ビジネスニュース】
国連、COP27で衛星データを利用したメタン検知システム「MARS」を発表。排出元に通知し、排出量削減を目指す【宇宙ビジネスニュース】
日本と欧州、2030年までのISS運用延長に合意。「アルテミス計画で必要となる技術実証の場として不可欠」【宇宙ビジネスニュース】
ANA、航空機とドローンを活用し温室効果ガスを観測。JOGMECと共同調査へ【宇宙ビジネスニュース】
天地人が衛星データを活用して水田から排出されるメタンガスを推定する方法論を発表【宇宙ビジネスニュース】
参考
UN announces high-tech, satellite-based global methane detection system
EU-US Joint Press Release on the Global Methane Pledge Energy Pathway