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QPS研究所「超小型LバンドSAR衛星」を開発へ。森林炭素量や温室効果ガス収支の評価などでの活用に期待【宇宙ビジネスニュース】

【2022年12月30日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

12月13日、小型SAR衛星のコンステレーションの構築を進めるQPS研究所が、JAXAが調達する「超小型LバンドSAR衛星」の検討及び試作試験に関する研究開発契約を締結したことを発表しました。

Lバンドとはマイクロ波の周波数帯域の一つです。これまでQPS研究所は、Lバンドよりも周波数が高いXバンドの小型SAR衛星を開発していました。

Credit : さくらインターネット

QPS研究所は独自開発したXバンド用のパラボラアンテナをLバンド向けへと転用し、新たにミッション部、バス部、アンテナの設計と製造に取り組みます。

Xバンドは光学カメラで撮ったような画像化や細かいものを見るのに適していて、森林がある箇所を観測すると、木の上の葉っぱ(樹冠)で電波が反射します。一方でLバンドは、マイクロ波の中でも特に波長が長いため、電波が葉や枝、草を通過し、幹や地表面に近いところの情報が得られるという強みがあります。森林構造やバイオマスの推定にも向いています。

Credit : QPS研究所

今回締結された契約は、衛星2機による協調観測の技術実証を行う超小型LバンドSAR衛星の検討および試作・試験の実施を目的としています。

協調観測により、山間部等の植生域における精度の高いデジタル標高データ(Digital Terrain Model, DTM)の作成や、観測データを分析することで森林炭素量や温室効果ガス収支の評価が可能になります。

さらに、干渉SAR解析データをJAXAが運用するLバンド衛星の観測と組み合わせると、上下・南北・東西の3次元の地表の変位を、面的に捉えられ、地震や火山などによる災害状況把握や人工構造物や地盤の変位監視、GNSS測量と組み合わせた測位精度向上などへ活用できることが期待されるといいます。

QPS研究所は

「SAR衛星開発に関する知見を深め、さらに技術を高めてこの領域で世界のトップランナーになることを目指します」

と意気込みを述べています。

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参考

JAXAと「超小型LバンドSAR衛星の検討及び試作試験」に係る研究開発契約を締結いたしました

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