世界的ワインメーカーMummが宇宙用ワインボトルのデザインを発表。Axiom Spaceの宇宙ステーションへの持ち込みも【宇宙ビジネスニュース】
【2022年1月3日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
2023年はVirgin Galacticによるサブオービタル飛行サービスの提供開始、民間人によるISS滞在や地球周回など、さまざまな宇宙旅行が計画されています。こうしたなか、宇宙旅行中に楽しめる宇宙食や飲み物の開発も進んでいます。
世界有数のワインメーカー・Maison Mummは、宇宙飛行中にテイスティングができる専用のワインボトル「マム コルドン ルージュ ステラ シャンパン」のデザインを2022年9月に発表しました。
同時にMaison Mumm は、有人宇宙飛行や商業宇宙ステーションの構築に取り組むAxiom Spaceとの提携も発表。将来的には、Axiom Spaceが開発中の商用宇宙ステーションで用いられる予定だといいます。
フランスのパリ国立天文台で開催された製品発表会で、Axiom Spaceの社長兼CEOマイケル・サフレディーニ氏は嗜好品の重要性についてこう語りました。
「文化とは日々の原動力となるもので、様々なかたちで楽しむべきものです」
ISSへの飲料の運搬は、安全性の確保や輸送にかかるコスト低減のために、粉末状のものをパックに詰めて地上から輸送するというのが一般的です。
一方、マム コルドン ルージュ ステラ シャンパンのボトルは、航空宇宙用のアルミニウム製のシェルでガラス部分を保護し、ワインを固定するステンレス鋼の折りたたみ式装置を導入することで、安全に宇宙へワインを持ち運ぶことができます。近未来的な外観でありながら、従来のワインボトルの形状を再現することにMaison Mummのこだわりが現れています。
ボトルは宇宙用の製品開発の実績が豊富なデザイナーでSPADE社の創業者であるオクターブ・ド・ゴール氏が設計を担当し、フランス国立宇宙研究センター(CNES)らの協力を得て、開発されたということです。
また、宇宙に輸送するための安全条件とフランスの原産地統制呼称制度(AOC規定)に完全に準拠しているといいます。
オクターブ・ド・ゴール氏は
「このプロジェクトはもちろん、そのハイテクな性質と、デザインから制作まで、100%フランスのアイデンティティのために非常に刺激的です。シャンパンはテロワール、気候、先祖代々のサヴォアフェール(匠の技)、そして地球から遠く離れた進化を遂げたであろうすべての人の味覚の記憶を凝縮します」
と述べています。