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ispaceの月面ランダー、着陸を確認できず。CEO袴田氏「世界に先駆けて着陸の直前までデータを獲得」【宇宙ビジネスニュース】

【2023年5月1日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

4月26日、ispaceは民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1のランダーの月面着陸に挑みましたが、ランダーとの通信の回復が見込まれず、月面着陸を確認するSuccess9の完了が困難と判断したことを発表しました。

ispaceは月面ランダーの打ち上げから月面着陸、着陸後の安定状態の確立までを10段階のマイルストーンで設定していました Credit : ispace

ispaceはランダーの月面着陸が確認できない理由について、このように説明しています。

「現時点で得られているデータに基づくと、東京日本橋のミッションコントロールセンター(地上管制室)にて、着陸シーケンスの終盤、ランダーの姿勢が月面に対して垂直状態になったことを確認しておりますが、着陸予定時刻を過ぎても着陸を示すデータの確認にはいたりませんでした。その後ランダーの推進燃料の推定残量が無くなったこと、及び、急速な降下速度の上昇がデータ上確認されており、最終的にテレメトリの取得ができない状態となりました。これらの状況から、当社のランダーは最終的に月面へハードランディングした可能性が高いと考えております」

ミッション1ランダーには、JAXAとタカラトミーらが共同開発した変形型月面ロボット「SORA-Q」が搭載されていて、JAXAは約4時間月面探査を実施する予定でした。しかし、ランダーとの通信の回復が見込めないとの報告を受け、JAXAは「本ミッション(変形型月面ロボット「SORA-Q」による探査)の遂行は困難であると判断いたしました」と発表しました。

26日に開催された記者説明会でispaceの代表取締役CEOの袴田武史さんは、計画通りにランダーの月面着陸は果たせなかったものの、フライトデータを得ることができ、このデータが今後の研究開発において重要であることを説明しました。

代表取締役CEOの袴田武史さん

「着陸の直前までデータを獲得できた民間企業は我々のみだと思います。その点では世界に先駆けているのではないかと思います。特に月面でのフライトデータは有意義で、このデータはミッション2、ミッション3に必須です。地球上では月と同じ環境は再現できませんので、シミュレーションをやってきたわけですが、この数値(ミッション1で得られたデータ)があることでシミュレーションの精度が高まります」

ispaceは2024年にミッション2ランダー、2025年にミッション3ランダーを打ち上げる予定です。これらのランダーにペイロードを搭載する顧客はすでに複数発表されている状況です。ミッション2、3へと続くispaceの挑戦を期待を持って見守りたいと思います。

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参考

民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1月面着陸について(第二報)

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