SpaceXの大型ロケットStarshipによる環境負荷をめぐり、環境保護団体が連邦航空局を提訴【宇宙ビジネスニュース】
【2023年5月8日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
SpaceXが4月20日に次世代ロケット「Starship」の初の軌道打ち上げを受け、現地では環境への影響が懸念されています。
5月1日、生物多様性センター(Center for Biological Diversity)とアメリカ野鳥保護協会(American Bird Conservancy)、サーフライダー財団(Surfrider Foundation)、Save RGV、Carrizo/Comecrudo Nation of Texasは、環境審査が不適切であったとして、連邦航空局(FAA)を訴えたことを発表しました。
SpaceXは環境への負荷を軽減させる緩和策を実施することを条件に、Starshipの打ち上げ許可を取得していました。
しかし、生物多様性センターらによると、4月20日に行われたStarshipの打ち上げによって、射場周辺はケンプヒメウミガメやフエコチドリなどの保護種や渡り鳥の生息地があるにもかかわらず、大気汚染物質が降り注いだといいます。
生物多様性センターらはプレスリリースで「FAAが提案した緩和策は、打ち上げプログラムによる重大な環境破壊を防ぐには不十分です。当局は、近隣の生息地を一掃しかねないロケットの爆発や火災を防ぐための緩和策を明らかにしていませんでした」と述べています。
さらには、打ち上げに際して公共ビーチに通じる道路が長時間にわたって閉鎖されることが考慮されていなかったについても言及されています。
道路が閉鎖されるのは年間最大800時間。サーフライダー財団のシニア・リージョナルマネージャのサラ・ダムロン氏は「800時間(におよぶ公共ビーチに通じる道路)の閉鎖は、テキサス・オープン・ビーチ法、州憲法、そしてテキサスのビーチへの自由で無制限のアクセスに対するテキサスの人々が持つ権利に反しています」と述べています。
Starshipの本格的な打ち上げ開始を前に、地元住民との調整や理解促進も求められています。