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ESA監督のもと衛星をハッキング。衛星画像の改ざんや機体回転に成功。「知識を得るために効果的」【宇宙ビジネスニュース】

【2023年5月8日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

5月4日、欧州宇宙機関(ESA)は、同機関の監督のもとで、欧州の宇宙開発企業Thales Alenia Spaceがサイバーセキュリティの実証を行ったことを発表しました。

この実証はESAとThales Alenia Space、スイスのサイバーセキュリティ企業CYSECが考案したもの。Thales Alenia Spaceの専門チームは、ESAの衛星「OPS-SAT」の制御レイヤーに密かにアクセスし、衛星が撮影した画像の改ざんと機体の姿勢を回転させることに成功しました。

宙畑メモ
「OPS-SAT」はミッションコントロールと衛星システムの技術を検証する超小型衛星です。従来のESAの宇宙機よりも10倍強力な実験用コンピュータが搭載されていて、「空飛ぶ実験室(A flying laboratory)」とも呼ばれています。2019年12月に打ち上げられました。
参考:OPS-SAT

OPS-SATのプロジェクトマネージャーであるデイビッド・エバンズさんは、

「ESA やThales(Thales Alenia Space)が行った実証は、しばしば『倫理的ハッキング』と呼ばれ、宇宙機エンジニアが知識を得るための非常に効果的な方法です。攻撃者の活動を観察し、その方法を理解することは、私たちにとって非常に貴重でした」

と述べています。

OPS-SATの機体に損傷はなく、ESAによってソフトウェアをセキュアな状態に戻すことに成功しています。実証の結果をもとにESAとThales Alenia SpaceはOPT-SATのセキュリティシステムを更新し、ESAは「脅威に対する潜在的な攻撃経路が1つ少なくなった」と説明しています。

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参考

ESA oversees in-orbit cybersecurity demonstration

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