カナダ宇宙庁の山火事モニタリング衛星開発にOroraTechとSpire Globalが協力。2029年に打ち上げへ【宇宙ビジネスニュース】
【2023年5月22日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
5月9日、衛星データを利用した森林火災や山火事の検出サービスを提供するOroraTechは、船舶の追跡情報などを提供するSpire Globalと提携し、カナダ宇宙庁とともに山森林火災や山火事をモニタリングする衛星「WildFireSat」の導入に向けて取り組みを進めていることを発表しました。
OroraTechは2018年に創業した、ドイツに本社を置くスタートアップ企業です。熱赤外線センサを搭載した独自の衛星のコンステレーション構築にも取り組んでいます。
2022年11月にはシリーズAラウンドで1500万ユーロを調達しました。カナダ・バンクーバーにも拠点を構えています。
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OroraTechのCOO アクセル・ローエンネケ氏は
「カナダは、宇宙からの山火事監視のための専用ソリューションに投資する最初の国です。私たちのシステムは、二酸化炭素排出量の削減と大気環境の改善に貢献し、毎年数十億ドルの経済効果をもたらします」
と述べています。
Spire Globalは、2021年9月にカナダ企業のexactEarthを買収しました。今回は子会社であるexactEarthがカナダ宇宙庁と契約を締結しています。
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カナダでは、山火事対策に年間約10億ドルの費用が必要とされています。この状況に対して、カナダ政府は今後11年間で1億7000万カナダドル(約170億円)を投資し、新しい山火事監視衛星システムを構築します。
WildFireSatは2029年に打ち上げられる計画です。WildFireSatの観測データは準備が整い次第、一般に公開されます。
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参考
AID FROM SPACE: ORORATECH AND SPIRE GLOBAL TEAM UP TO TACKLE WILDFIRES FOR THE CANADIAN SPACE AGENCY