「宇宙技術戦略」2023年度内に策定へ。技術の進化に合わせた継続的な改訂も【宇宙ビジネスニュース】
【2023年9月15日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
9月14日、第107回宇宙政策委員会および第34回基本政策部会が合同開催され、宇宙技術戦略の策定に向けた検討の進め方について議論されました。
宇宙技術戦略とは、日本が開発を進めるべき技術を見極め、その開発のタイムラインを示した技術ロードマップです。6月に改訂された宇宙基本計画で、新たに策定し、ローリング(改訂)していくことが決定されました。宇宙技術戦略策定の進め方が議題に挙がった会合は今回が初めてでした。
内閣府宇宙開発戦略推進事務局によると、宇宙技術戦略の策定が決まった背景には、欧州ではESAが中心となって全47の宇宙技術ロードマップを、アメリカでは宇宙軍が中心となって非公開の宇宙技術ロードマップを策定・更新していることが挙げられるといいます。
また、今回の宇宙政策委員会および基本政策部会では、「スピード感を持って取り組んでほしい。特に商業化の支援が非常に重要である。予算獲得にもしっかり活用してほしい」「宇宙分野の産業競争力を高めるにあたっては、デジタルエンジニアリングなど宇宙に特化した分野以外にも目配りをしなければならない」といった意見が出たといいます。
今後は具体的な技術分野の分類が行われ、年内に「宇宙技術戦略に関する考え方」として整理。2023年度内に宇宙技術戦略が策定され、2024年度以降の技術開発予算の執行で参照される見込みです。
宇宙技術戦略は継続的に最新動向を踏まえたローリングが行われます。ローリングの周期などは今後検討がなされます。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授で基本政策部会の部会長を務める白坂成功氏は、生成AIが急速に発展したことを例に挙げて、柔軟にローリングができるオペレーションが必要だと説明しました。
「全てを同時にローリングし続ける必要ないかもしれません。やはり(成熟が)早い分野と早くない分野がありますし。例えば、全領域を3分割して、毎年1つずつ順番にローリングすることもできるでしょう」
「(ローリングの)オペレーションをどうするのかは、今後考えていかなければなりません」
宇宙技術戦略の策定と継続的なローリングは、日本の宇宙産業の成長を牽引する技術の育成につながると期待されます。