宇宙基本計画工程表が改訂。衛星データ利活用の強化や宇宙活動法の見直しなどに言及【宇宙ビジネスニュース】
【2024年1月6日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
第31回宇宙開発戦略本部が12月24日に開催され、宇宙基本計画工程表が改訂されました。
宙畑メモ:
宇宙基本法に基づき策定している、日本が宇宙分野においてどのような施策を実行していく予定か、計画を示す資料です。この計画は毎年見直され、年末に改定されます。
石破総理は「宇宙分野の活動は、安全保障上の重要性は言うまでもなく、防災・減災、気象予測、農業、自動運転など様々な産業や国民の生活に恩恵を与えております。熾烈な国際競争の中で我が国も世界に遅れをとってはなりません」と述べ、打ち上げ能力の確保や新たな宇宙輸送に対応するために宇宙活動法の改正を視野に制度見直し、日本人宇宙飛行士の月面着陸の実現に向けた有人与圧ローバの開発などの取り組みの加速、準天頂衛星システムの11機体制構築に向けた開発などを行っていくことを説明しました。
ここでは、今回の宇宙基本計画工程表の改訂により、注目すべき項目や新たに盛り込まれた項目を中心に解説します。
温室効果ガス・⽔循環観測技術衛星は25年前半に予定
2024年度第4四半期から2025年度はさまざま衛星の打ち上げが計画されています。
温室効果ガス・⽔循環観測技術衛星(GOSAT-GW)は2025年度前半にH-IIAロケットの最終号機である50号機で打ち上げられる計画です。開発を着実に進めるとともに、世界に先駆けて開発した温室効果ガス排出量推計技術を中央アジアやインドなどに普及させる取り組みを推進し、国際標準化を目指していきたいと考えています。
同取り組みの一環で、2023年にはモンゴルにおける成果を環境省の支援のもと中央大学らが学術論文として公表しました。並行して、政府はこれまで中央アジア4カ国との協力関係の構築や覚書の締結を行っているということです。
環境省に聞く、世界の環境観測のインフラとなる人工衛星GOSATシリーズとは
宇宙活動法、24年度内に制度見直しの考え方を取りまとめ
宇宙往還機や再使用型ロケット、サブオービタル飛行など新たな宇宙輸送形態が登場していることから、宇宙活動法の改正を視野に制度を見直す動きが進んでいます。政府は2024年度内に制度見直しの考え方を取りまとめ、それを踏まえ、必要な制度整備に取り組むということです。