宙畑 Sorabatake

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「お客様に提供する解析結果の精度を上げる」ソリューション起点で衛星開発! 天地人が地表面温度観測衛星計画を発表

2025年1月27日、JAXAベンチャーの天地人が自社で衛星を開発し、地表面温度観測を強化する「Thermo Earth of Love プロジェクト」を発表。記者会見では「ソリューションを軸足においている」と繰り返し伝えられ、その意図と計画についてまとめています。

2025年1月27日、JAXAベンチャーの天地人が自社で衛星を開発し、地表面温度観測を強化する「Thermo Earth of Love プロジェクト」を発表しました。記者会見では代表取締役社長CEOの櫻庭康⼈さんが天地人の事業内容と今後の展望を、取締役副社長でありCSTOの百束泰俊さんが新しいプロジェクトについて説明しました。

天地人はこれまでに漏水リスク管理業務システム「天地人コンパス 宇宙水道局」を多くの自治体に提供し、宇宙から米作りに最適な土地を探して栽培したお米「宇宙ビッグデータ米」の栽培を米卸で国内大手の神明と行うなど、衛星データを活用した様々なソリューションを開発し、これまでに国内外50以上の導入事例を積み上げています。

「天地人コンパス 宇宙水道局」は2022年2月の豊田市の実証に始まり、様々な地方自治体への導入が進む

地表面温度の解像度が250mから数十メートルになると何ができる?

記者会見では、「天地人コンパス 宇宙水道局」の提供にあたって地表面温度が非常に重要であることに加えて、現在の解像度が天地人独自の高頻度な高解像度化技術によって250mまで実現できているところ、自社の衛星を開発して運用することで、数十メートルまでの高解像度化を目指すことが発表されました。

百束さんは「2kmの解像度から250mの解像度で地表面温度が見えるようになっただけでも、街の中の区画ひとつひとつしか分からなかったものが、大きな建物であれば分類できるレベルになった。数十メートルの解像度となると、道路や一定の大きさの建物の温度まで分かるようになる。水道管の場合は、アスファルトのすぐ下に水道管が通っているため、道路の温度が分かれば、水道管に対してどれくらい老朽化させるようなストレスがかかったかが分析できるようになる」と解像度上がることで顧客に提供する解析の精度がさらに上がることを話しました。

「天地人コンパス 宇宙水道局」は、点検費用を最大65%削減、調査期間を最大85%削減という効果が期待できるとのこと

また、地表面温度は現在提供中の「天地人コンパス 宇宙水道局」や気候変動を踏まえた農業分野の適地評価のみならず、今後の展開として再生エネルギー適地評価や「地表面温度」としての気象情報サービスなど、新しいサービスにも活用可能性があると紹介がありました。

お客様のための「Thermo Earth of Love プロジェクト」

記者会見では「ソリューションを軸足においている」ということが繰り返し伝えられました。

全球のベースマップを作る予定や頻度についての質問にも、今回の取り組みは「ベースマップを作るのではなく、天地人が提供しているソリューションそれぞれのお客様の地域のデータを拡充していく。また、地表面温度そのものが製品になるのではなく、そのデータを使って得られる水道管の漏水リスク把握や美味しいお米を栽培するということが最終的な価値を生むポイントだと考えている」と回答をいただきました。

衛星の打上げは2027年までには打ち上げを予定しているとのこと。ソリューションを提供し続け、お客様との会話を続けているからこそ開発できる衛星の仕様がどのようなものになるのか、非常に楽しみです。