中東のシリコンバレー、イスラエル、民間初の月面探査へ一歩【週刊宇宙ビジネスニュース 2/18~2/24】
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日本時間22日午前、SpaceXの「Falcon9」で、イスラエルの民間団体SpaceILが月面探査機「ベレシート」の打上げに成功しました。4月上旬に月面に到着し、写真・動画の撮影と磁気圏の調査を予定しています。
同社が月面探査に成功すれば、ソ連・米国・中国についで世界で4番目の月面探査成功、民間企業としては世界初となります。
このプロジェクトに約2700万ドルを寄付しているイスラエルの億万長者モリス・カーン氏は、1969年のアポロの月面着陸のような感動をイスラエルの若者たちに与えることで、イスラエルの科学技術の向上を図りたい、と述べています。
イスラエルでは、中東諸国に先んじて1983年にイスラエル宇宙庁を設立しています。高度な技術力で衛星の搭載センサや小型衛星の開発を得意とし、海外の衛星プロジェクトにも機器を多く提供しています。
国土が四国程度と狭く、質の高い技術力や創造性が求められるという点で、日本と近しい気配を感じるイスラエルですが、約2万5000社のスタートアップが存在感を発揮しています。ナスダック上場企業は、アメリカ、中国に次いで3位となり、中東のシリコンバレー、第二のシリコンバレーとも言われています。若い世代から人材発掘を行い、イノベーションリーダーを育て上げる教育プログラムが盛んです。
Utilisというスタートアップでは、宇宙探査で培った技術を宇宙だけに留めず、火星の水を探すために開発された技術と衛星画像を使って、イスラエル国内の水道管の水漏れを検知するビジネスを行なっています。
世界中で、運搬中に失われている淡水の量はおびただしく、途上国で人々に届くまでに無駄になっている水の量だけでも、9000万人の人々に必要な水を供給できるくらいと言われています。宇宙技術を使って、Utilisはこの問題に取り組んでいるのです。
今回、世界初の民間月面探査を成功させれば、イスラエルのパワーのある若者たちに、アポロ計画並み、またはそれ以上の影響を与えることになるでしょう。科学技術力が高く、スタートアップが生まれやすい土壌もあるイスラエルで、今後どのような宇宙スタートアップが生まれてくるか、楽しみです。
今週の週刊宇宙ビジネスニュース
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