日本発の宇宙ロボットスタートアップGITAI USA、米ミサイル防衛庁「ゴールデン・ドーム構想」を支えるSHIELDプログラムに参画【宇宙ビジネスニュース】
日本発のスタートアップであるGITAIが、アメリカの総額約23兆円のミサイル防衛プログラム参画に採択されたニュースと、日本発の企業でありながら米国防衛市場の企業リストに登録された同社の取り組みについて紹介します。
2025年12月23日、宇宙ロボットスタートアップのGITAI USA Inc(以下、GITAI) が、米国ミサイル防衛庁(MDA)のSHIELD(Scalable Homeland Innovative Enterprise Layered Defense)プログラムの参画企業に採択されたことを発表しました。本プログラムは総額1,510億ドル(約23兆円)規模のIDIQ契約です。このプログラムはトランプ政権が掲げる「ゴールデン・ドーム構想」を技術面で支える重要な取り組みです。
宙畑メモ:IDIQ契約とは
「Indefinite Delivery/Indefinite Quantity」の略で、日本語で直訳すると「不確定納入/不確定数量契約」となります。政府が必要に応じて発注できる枠組み契約であり、選定された企業は今後の個別案件に対して提案を行う権利を得ます。今回の契約獲得は「受注確定」ではなく「提案機会の獲得」を意味します。
GITAIは「宇宙での作業コストを100分の1に下げる」をビジョンに掲げる宇宙ロボットスタートアップです。人工衛星の寿命延長サービスや月面インフラ構築が可能なロボットを開発しています。
同社は2016年に中ノ瀬翔さんが日本で創業。現在は米国市場へのコミットメント強化のため、米国カリフォルニア州トーランスに本社を移転しています。経営陣も永住権を取得し、米国連邦法における「US Person (米国人)」として事業を展開しています。2025年4月には米国政府との契約締結を円滑に進めるため子会社「GITAI Defense and Space LLC」を設立しています。
技術面では、2021年10月の国際宇宙ステーション(ISS)船内実証に続き、2024年3月にはISS船外での宇宙実証にも成功。また、2025年1月に自社開発衛星の宇宙実証を達成しました。これらの実績の組み合わせにより、軌道上サービス用ロボットアーム搭載衛星の開発能力も実証していました。
SHIELDプログラムにはすでに約2,100社が選定されています。選定企業の中でGITAIは日本に縁のある数少ない企業の一つです。GITAIがMDAと交わした契約の枠組を下記にまとめました。
今回の契約は特定技術の個別契約ではなく、今後の競争入札を受ける対象企業 (SHIELDプログラム内の調達先候補) として認定するための契約です。
今回のリリースによると、GITAIは同社の宇宙ロボット技術や垂直統合型の開発アプローチを提供し、将来のミサイル防衛や宇宙防衛イニシアチブを支援するとのことです。
宙畑メモ:垂直統合型とは
設計から製造、試験まで一連のプロセスを自社内で行う開発方式です。外部企業への依存を減らし、開発スピードとコスト効率を高められます。
GITAIのSHIELDプログラム参画は、日本で創業したスタートアップが米国法人化し、米国防衛市場に本格参入するという一つのモデルケースを示しています。宇宙産業においては、特に国防分野では国籍要件が厳格であり、日本企業のままでは参入できない市場も少なくありません。
GITAIは本社機能を米国に移転し、経営陣が永住権を取得するなど、さまざまな障壁を乗り越えました。今後、宇宙防衛分野でどのような具体的な貢献を果たしていくのか、引き続き注目が集まります。

