魚介類向け宇宙養殖システムからAI洪水予測まで、宇宙産業への新規参入企業も。東京都の「宇宙製品開発助成」に採択された8つの技術開発テーマ
東京都と東京都中小企業振興公社は宇宙産業に特化した助成制度 「宇宙製品等開発経費助成」の支援対象として、計8件の事業を採択。その概要と宙畑編集部が気になったポイントを紹介します。
2026年2月2日、東京都と(公財)東京都中小企業振興公社は宇宙産業に特化した助成制度 「宇宙製品等開発経費助成」の支援対象として、計8件の事業を決定したと発表しました。本制度は、市場拡大が続く宇宙産業において、都内の中小企業やスタートアップのビジネスチャンス獲得を後押しするものです。
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今回の採択には、月面探査車や宇宙養殖システム、AIを用いた洪水予測など、多岐にわたる技術開発テーマが並び、宇宙産業に新たに参入する企業の名前も見られました。本記事では、採択された事業と事業者について、その概要とポイントを紹介します。
ハードからソフトまで、採択された8つのプロジェクトの概要
今回の助成は、ハードウェア開発を支援する「機器開発助成」と、データ利活用を支援する「ソリューション開発助成」の2つの枠組みで実施されました。
今回発表されたリリースによると、機器開発助成では5件、ソリューション開発助成では3件の技術開発テーマが採択され、その結果は以下の通りです。
機器開発助成は、キューブサット用衛星通信モジュールの開発やロケット・衛星・探査機に適用可能な再使用型推進器技術の開発といった、現時点でも一定の需要が見込まれる部品・コンポーネントの開発から、完全閉鎖循環型魚介類向け宇宙養殖システムの開発といった、将来成長が期待される宇宙産業分野を想定した技術開発テーマまで幅広い内容が採択されています。
ソリューション開発助成は、衛星データを利用したものに限らず、衛星ミッション管制のスケジューリング、自動化、AI統合の実装など、宇宙システムを円滑に運営するために必要なインフラ技術の開発も採択されていることが印象的です。
さらに、注目したいポイントは、宙畑編集部調べではありますが、採択された8事業者の4事業者はもともと宇宙産業に特化した企業ではないということです。
例えば、「超軽量薄膜太陽電池に用いる電荷輸送層MXeneの開発」で採択された日本材料技研は機能材料の開発・製造・販売を手掛けており、公式サイトを見ると、自動車材料メーカー、ヘルスケア材料メーカー、電子材料メーカーが主な顧客であることが分かります。
また、「衛星データ連携によるグローバル洪水予測システムの開発」で採択されたAquniaは、衛星データに限らず、AIや東大発のシミュレーション技術などの最先端技術を組み合わせ、世界各国における気候変動や水にまつわる予測関連ソリューションを提供する企業です。
このように、本制度がきっかけとなってこれまで宇宙産業に参入していなかった企業が宇宙産業に注目し、実際に技術開発にチャレンジする機会となっていることは、宇宙産業の拡大が期待される中で、重要なポイントと言えるでしょう。
今後、各社が今回採択された技術開発を通して、機器開発助成は日本の宇宙産業のサプライチェーン強靭化、ソリューション開発助成は日本の宇宙産業の市場規模拡大につながる成果が生まれることが期待されます。
宇宙産業は東京都が期待する成長産業のひとつ
なお、「宇宙製品開発助成」は、2050年代に目指す東京の姿「ビジョン」を実現するため、2035年に向けて取り組む政策を取りまとめた、都政の新たな羅針盤として公表されている「2050東京戦略」を推進する取り組みのひとつ。内容を確認すると、宇宙産業が成長産業の一つとして明確に期待されていることが記されています。
最新の2050東京戦略のデジタルブックを確認すると、今後は体制構築やプロジェクト推進を支援、大企業等の保有資産を活用したオープンイノベーションの促進、CVCと連携したスタートアップなどの成長促進が計画されているようです。
今後も東京都が描く理想の姿に向けて、どのような宇宙技術開発が行われ、産業が成長していくのか、今後の動向が注目されます。

