低軌道・静止軌道、衛星通信の覇権争いの行方はいかに【週刊宇宙ビジネスニュース 3/18~3/24】
一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!
ブロードバンド通信インフラ開発を行うTarana Wirelessは、衛星通信事業者EchoStarとKhosla Venturesから6000万ドルを調達することに成功しました。
同社は、先週約12億ドルほどの増資に成功したOneWebの創設者Greg Wylerが後援している会社で、建物や木など、物理的な物体が信号の経路内にある場合でも安定した長距離無線インターネット接続を提供できる技術に強みがあります。
OneWeb Secures $1.25 Billion in New Funding After Successful Launch
この技術は、1平方キロメートル当たりの世帯数が都市部や密集した郊外部よりも分散している地域での衛星通信にも適用できるそうで、OneWebの目指す「デジタルデバイドをなくす」というビジョン・計画の推進剤となりそうです。
昨今、低軌道でのコンステレーションによる衛星通信インフラの構築が進んでいます。上述のOneWebだけでなく、SpaceX社やCloud Constellation社など、大小様々な企業が参入してきています。
地球上のどこからでもインターネットを SpaceXのStarlinkとは?
Cloud Constellationが約1億ドルの投資を獲得【週刊宇宙ビジネスニュース 12/24~12/30】
今まで衛星通信は、静止軌道に打ち上げられる通信衛星によるものが中心で、寿命などの関係で年間20基ほど安定して製造・打ち上げを繰り返していました。
静止軌道は地上約36,000km上空です。これと比べると低軌道での衛星通信は、地上約1,000km付近での送受信となるため、時差が小さくなったり、地上側の受信機が安く・小さくできたりといったメリットがあります。
衛星通信サービスベンチャー企業とビジネストレンド2017
衛星通信によるIoT市場は、2017年〜2023年の期間中にCAGR (年平均成長率) 6.91%で成長すると予測されており、通信インフラは今後ますますの需要発展が見込まれます。
この需要を、低軌道に大量に衛星を打ち上げてサイクルを回すコンステレーションと、従来の安定した静止軌道衛星通信、はたまた地上の通信インフラ、どれがどのようなバランスで覇権を取るのか、今後の競争の動きに注目です。
今週の週刊宇宙ビジネスニュース
ゼンリンとの提携を解消したGoogle、提携し始めたMapbox【週刊宇宙ビジネスニュース 3/18~3/24】
「Tellus」で衛星データを触ってみよう!
日本発のオープン&フリーなデータプラットフォーム「Tellus」で、まずは衛星データを見て、触ってみませんか?
★Tellusの利用登録はこちらから
参考
EchoStar, Khosla Ventures invest $60 million in Wyler-backed broadband venture