LiveEO、光学とSARの画像を一つのAIで扱う視覚基盤モデルの実現に向け、ドイツ政府から助成獲得【宇宙ビジネスニュース】
2026年8月4日、LiveEOはドイツ政府の宇宙開発プログラムから助成を受けたと発表しました。この助成を活用し、光学衛星とSAR衛星という異なる衛星のデータを、一つのAIで扱う視覚基盤モデルが実現可能かどうかの調査に取り組みます。
2026年8月4日、LiveEOはドイツ政府の宇宙開発プログラムから助成を受けたと発表しました。
この助成を活用し、光学衛星とSAR(合成開口レーダ)衛星という異なる衛星のデータを、一つのAIで扱う視覚基盤モデル(Vision Foundation Model, VFM)が実現可能かどうかの調査に取り組みます。
LiveEOは、衛星データをAIで解析し、インフラ監視サービスなどを提供するベルリン拠点の企業です。
助成は、ドイツ宇宙庁(ドイツ航空宇宙センター内)が運営する、自国の宇宙産業の技術開発を支援する「国家宇宙・イノベーションプログラム」によるものです。助成額は6桁台後半とされ、具体額は公表されていませんが、ユーロなら数十万、日本円で1億円前後と推定されます。プロジェクト期間は18か月です。
現在の地球観測で使われるAIモデルの多くは、木や建物など、特定の対象の変化を検出する単一のタスクに特化しています。
リリースでは、こうしたモデルは特定のタスクには強力な半面、適用範囲が狭く、データの取得元やタスクが変わるたびに新しいモデルをゼロから学習する必要があると指摘しています。
今回、LiveEOが実現可能性を調査するAIモデルは、従来と異なるアプローチを取る基盤モデルです。
宙畑メモ:基盤モデル
大量のデータから汎用的な特徴を学び、少ない追加学習で多様なタスクに応用できるAIモデル。例えばチャット型の生成AIでは、人間の言語の理解と生成に特化した基盤モデル(LLM)が使われており、翻訳や要約など多様なタスクに応用されています。視覚基盤モデルは画像を対象としたAIモデルです。
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視覚基盤モデルは、一度に一つのタスクを学習するのではなく、さまざまな種類のデータから、地表の見え方や変化の仕方を汎用的に学習します。これにより、単一のモデルを幅広い監視タスクに、少ない学習量で適応させることが可能になるとされています。
今回の調査では、光学とSARという性質の異なる衛星データを一つのモデルで扱えるかを確かめます。
光学衛星の画像は人間の目に近く直感的に読み取れる一方、日中の晴天でなければ撮影できません。SAR衛星は雲を透過して昼夜を問わず観測できますが、その画像は光学画像ほど直感的には読み取れません。
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このモデルが実現すれば、片方の画像だけでは見えにくい変化でも、もう片方の画像の情報と組み合わせることで、より確実に検出できる可能性があります。
リリースでは、実現すればインフラ事業者にとっては、天候・季節・時間帯に関係なく、より一貫性のある監視が可能になるとしています。
LiveEOのパイプライン監視サービス「SurfaceScout」のリモートセンシング責任者を務めるマルクス・ミュラー博士は、以下のようにコメントしています。
「地球観測は新たな段階に入りつつあります。これまで私たちは特定のタスクのために特化したモデルを構築してきましたが、次のフロンティアは、あらゆる形態の衛星データを理解する基盤モデルです。このプロジェクトでは、単一のモデルが、各センサが最も得意とする情報を組み合わせながら、熟練したアナリストのように光学画像とSAR画像を横断して推論できるかどうかを検証しています。ドイツ宇宙庁などの支援によって、インフラや環境をはじめとするさまざまな分野で、今後10年の地球観測によるモニタリングのあり方を決定づける、まさにそうした基礎研究に取り組むことができます。」
今回は、衛星データ解析の企業が、汎用的な視覚基盤モデルが実現できるかを検証するニュースでした。ドイツ政府のプログラムが本調査を助成対象に選んだことからも、外部からの期待の大きさがうかがえます。
LiveEOはインフラ監視に特化した自社衛星コンステレーション「Twinspector」の構築も進めています。データの取得と解析、両方を自社内に抱える体制づくりを目指していると考えられます。
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実現可能性調査は2027年11月まで続きます。視覚基盤モデルがどこまで実用的なものになるのか、結果に注目です。
参考記事
Nationales Programm für Weltraum und Innovation (Rahmenprogramm) - NRW.BANK

