衛星データの高性能化と、それを支えるインフラ技術【週刊宇宙ビジネスニュース 4/15~4/21】
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容量が増加していく衛星データ
衛星データは、宇宙から地球を定期的に観測してくれるため、昨今農業や林業などの一次産業に加えて株価の予測やマーケティングなど、様々な分野に利用されています。
商用で世界最高レベルの衛星データを提供しているWorldViewの衛星画像は、解像度が約40cm程度。解像度1m程度のものなら、1キロ平方メートルあたり数百円とかなり安価に手に入るようになってきました。小型衛星の台頭により衛星の機数も増加してきており、より高頻度にデータを手に入れることも可能になる兆しが見えてきています。
衛星データが高画質化・高頻度化してくると、取得したデータの容量は膨大になってきます。例えば7000px×7000px、4波長、1画素8bitとすると、1枚あたりのデータ量は合わせてで約1GBです。これを1時間に数枚ずつ撮影するだけで、衛星データを転送・保管する容量は果てしない量となります。
宇宙ベースのデータセンター計画
そんな中、LyteLoop社は、データセンターを軌道上に設置するために、数十機の小型衛星の打ち上げを計画しているそうです。同社のネットワークは光速で宇宙間のデータ転送を行うため、地上に保存されたデータよりもハッカーの被害を受けにくいと言われています。
宇宙ベースのデータセンターは、地上ベースのデータセンターと比較して、構築に費用はかかるものの、運用コストは抑えられるそうです。一旦宇宙に打ち上げてしまえば、その後の維持費は少なくて済むという見立てです。10年間で建物の建設、起動、運用コストを含めた地上のデータセンターのコストを30%削減できる見込みだそうです。
宇宙ベースのデータセンターが実現すれば、宇宙で撮影した画像をまずは近場にある宇宙データセンターに転送、必要な時に宇宙から引き出していく、といったことが可能になるかもしれません。
データの無駄をなくす計画も
また、光学衛星データに含まれる情報の中で、無駄な部分を削減する計画も出てきています。Planetは、地球の約2/3を覆う雲・雲の影・もやなど、正確に地表を見るのを邪魔する不要なデータを除外し、ユーザーのアプリケーションに最適なピクセルを選別する機能Usable Data Masksをリリースしました。
以前は、シーン内で「無駄」なピクセルをyes/no形式で情報提供しており、ユーザーがその情報から、不良ピクセルを除外していました。今回リリースしたデータマスクは、機械学習の画像セグメンテーション技術を利用し、画像内のどのピクセルが曇っているか、薄暗いか、雪などが被っているかといったことを識別することができるようになりました。
これによりユーザーは自分の目的に合わせて、使用可能なピクセルを検索・フィルタリング・ダウンロードすることができるようになります。
余分なピクセルを除外してダウンロードができるようになったことで、不要な画像処理手順に煩わされることなく、分析に集中することができます。
さらに、アプリケーションなどにも不要な画像を除外した状態でデータダウンロードできるようになるため、アプリケーションの消費ストレージを節約することができるようになるのです。
衛星は、災害時に現場を撮影して状況を教えてくれたり、人間が人海戦術で測定していたデータを面で教えてくれたりと、宇宙から地球を見守るインフラです。元々は国家単位で計画され、打ち上げられるのがほとんどでしたが、機械学習の発展などで応用できる産業分野が増えるに連れて、民間での利用も伸びてきました。
民間需要の伸びに従い、今後はより一層、衛星データの高画質化・高頻度化が進んでいくでしょう。このインフラを支えるため、ハード・ソフト双方で、こちらも民間企業を中心に様々な工夫がなされてきているようです。
今週の週刊宇宙ビジネスニュース
推進系の異常により、サービス中の通信衛星が機能喪失【週刊宇宙ビジネスニュース 4/15~4/21】
参考記事
衛星データのキホン~分かること、種類、頻度、解像度、活用事例~
人工衛星から人は見える?~衛星別、地上分解能・地方時まとめ~
参考
LyteLoop plans dozens of smallsats for data-in-motion secure storage service|SPACENEWS
Clear For Analysis With Planet’s New Usable Data Masks|Planet