宙畑 Sorabatake

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Amazon創業者のベゾス氏、月面への着陸機を発表【週刊宇宙ビジネスニュース 5/6~5/12】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

2019年5月9日に、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏率いるブルーオリジンが、月面への着陸機「Blue Moon」についての記者発表会を行いました。

当日は月へ着陸するランダー、月面を走行するローバー、そしてエンジンの発表が。

10日にはMITが開発する機器を搭載する予定だ、とのコラボも発表。コラボは今後も発表されると考えられ、どのようなプレイヤーが出てくるのか楽しみです。

発表当日はTwitter上でも盛り上がりを見せており、例えばアメリカのビール「Blue Moon」も同じ名前だね、ということで反応を見せていました。
もしかするとビールも搭載されるかもしれませんね。

NASAは現在、2024年までに人を再び月に立たせる、ということを目標にかかげています。この方針に沿って、ブルーオリジンは人を月に送り込む準備ができていますよ、とアピールした形になります。

1969年に人が最初に月に立ってから、今年で50年。

月周回ステーションを始め、NASA以外の民間企業からも、月無人/有人探査計画に関する情報は多く出ていますが、各計画を支える持続可能な資金計画は、どこもまだ具体的に出せていない状況です。

ジェフベゾス氏は、「月に再び行くだけではなく、人が滞在し続けられるようにするのだ」ということをたびたび述べていますが、滞在し続けられるようにするには資金繰りも重要なファクタ。
コスト面を考えなければ、月に人が着陸する技術自体はあると言っても良い状態にすでにあります。しかし、やはりコストに見合うだけの対価がなければ、なかなか計画も進めにくいのが実際のところです。

コスト以外にも、月面で地産地消できるだけの資源の有無や、長期滞在による人体への影響など、考慮しなければならない課題も多くあるような状況ではありますが、果たして5年後にはどのようになっているのでしょうか。

2019年中には民間宇宙旅行が現実となり、2020年代には人が月に、2030年代には人が火星に降り立つ、とも言われており、SFの世界も徐々に現実に近づきつつあります。どのようになっていくのか、楽しみですね。

なお、宇宙分野の市場規模に興味のある方は、Bryce Space and Technology社が、毎年無料でレポートを公開しています。

探査分野はまだそこまでの盛り上がりでもないため、衛星分野が中心に分けられており、探査・有人分野は項目として独立していないのですが、今後の盛り上がりによっては、独立した項目になるかもしれません。この推移を見ながら、状況を整理するのも良いかもしれませんね。

余談ですが、ブルーオリジン率いるジェフ・ベゾス氏とSpaceXを率いるイーロン・マスク氏。
二人はライバル関係とよく言われています。
今回はブルーオリジンの話題を中心に書きましたが、5月15日には、SpaceXが構築しようとしている通信衛星網Starlink計画の最初の60機が打ち上げられる予定だ、との発表がありました。

ブルーオリジンも通信衛星分野への参入を表明したのですが、SpaceXの衛星開発者が、ブルーオリジンの通信衛星事業の責任者としてブルーオリジンへと転職したということでも大きな話題となりました(参考リンク[4])。
打ち上げが無事に実施されれば、次週の週刊宇宙ビジネスニュースではSpaceXの通信衛星について記載したいと思います。

今週の週刊宇宙ビジネスニュース

参考記事

参考

Jeff Bezos unveils a giant lunar lander that he says is 'going to the moon' and will help Blue Origin populate space

Cost of 2024 Moon Landing Is Still a Mystery

MIT, Blue Origin to cooperate on sending research experiment to the moon

Bezos hired a SpaceX vice president to run Amazon’s satellite internet project after Musk fired him

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