Virgin Orbit社 英国と日本で新たにサービス拡大へ【週刊宇宙ビジネスニュース06/03〜06/10】
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今月6月4日、イギリス政府と宇宙庁は、Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)社による衛星の打ち上げを支援するために、スペースポート(宇宙港)の開発に投資することを発表しました。
有人宇宙旅行のサービス提供を目指しているVirgin Galactic社から独立したVirgin Orbit社は、衛星打ち上げを目指す宇宙開発企業。
グループ会社・Virgin Atlantic航空が使用していた、ボーイング747を改修した「Cosmic Girl」に、衛星を搭載した二弾ロケット「LauncherOne(ランチャーワン)」を吊り下げて発射し輸送する仕組みとなっています。
発射地点が縛られる既存の打ち上げ施設とは異なり、柔軟な打ち上げ地点の設定が可能となります。
そのため、天候不良な場所を避けて打ち上げる、などといった柔軟な打ち上げが可能になると思われます。
今回の発表ではCosmic Girlの離発着に必要な空港の設備については明らかになっていませんが、スペースポート建設地となっているイギリス南西部に位置するコーンウォールの評議会と宇宙庁による投資総額は2,000万ポンド(約14億円)にのぼる見込みです。2019年後半に予定されている評議会で予算が承認されれば、2020年代初頭にスペースポートが開港する予定となっています。
さらに6日には、ANAホールディングス(ANAHD)とVirgin Orbit社が日本・アジア展開に関するパートナーシップを締結したことを発表しました。
プレスリリースから抜粋すると、
ANAHDは、Virgin Orbitの日本やアジアにおける打ち上げサービスのための輸送支援や、航空機と地上支援機材(航空機牽引車など)の整備もしくは運航支援において、協力関係を築くための協議を開始しました
とのことで、宇宙港の設備検討の強力な後押しとなりそうです。
ANAHDは、他にも、日本にスペースポートを開港することを目指して活動している、一般社団法人Space Port Japan(スペースポートジャパン 以下、SPJ)と連携して、国内における宇宙機離発着場に関する検証を進めています。
SPJは活動の目的に、日本がアジアにおける宇宙旅行ビジネスのハブになることを掲げています。衛星輸送サービス会社のVirgin Orbit社に続き、今後有人輸送を行う企業の誘致も考えられるのではないでしょうか。
Space Port Japan・新谷 美保子氏 独占インタビュー
日本を宇宙旅行の拠点に。弁護士・新谷美保子氏が語るこれからの宇宙ビジネス
宇宙ビジネスの実務に精通した弁護士としてTMI総合法律事務所に所属する傍ら、Space Port Japanの理事を務める、新谷 美保子氏へのインタビュー。SPJでの取り組みや日本でスペースポートを運用する上での課題をお話していただきました。
今週の宇宙ニュース
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参考記事
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参考
U.K. to fund development of spaceport facilities for Virgin Orbit
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