コンステレーションや発展途上国の打ち上げ増加により増す低軌道上物体マネジメントの必要性【週刊宇宙ビジネスニュース 6/24〜6/30】
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先日SpaceXが、60機の衛星を一気に打ち上げて話題になりました。打ち上げ成功時から全ての衛星がうまく動くとは考えていないとの見解を示してきてはいたものの、現在全体の22%は予定していた軌道にうまく遷移できていない模様です
コンステレーション計画は、小型の衛星を大量に軌道上に打ち上げ、地上に通信インフラを提供していく計画で、SpaceXだけでなくTelesatやLeoSatなど様々な企業が参入しています。
一部の企業が軌道を独占することなく、各企業が事業をしっかりと展開できるよう、ITU(The International Telecommunication Union)は打ち上げマイルストーンを導入するとしています。具体的なマイルストーンは以下の図のようになっており、初回の打ち上げから全ての衛星の配備完了までの期日を厳格に定めています。
これに対し低軌道のコンステレーション計画を遂行中のTelesat社は、基本的な技術力を保持していたとしても、欠陥等が発生する可能性はあり、うまく動かなかった場合に工場に送り返して原因究明・改修を行なった場合に、マイルストーンに乗ることができなくなることは十分にあり得るとしています。このルールに則ることで、いくつかのビジネスケースを台無しにする可能性があり、資金調達にも影響が発生するとして、反発しています。LeoSat社も、マイルストーンを導入する際には合理性をもっと議論すべきであるとしています。
一方、ニュージーランドの宇宙機関(NZSA)とLeoLabs社は、低軌道の衛星を継続的に監視できるクラウドベースのツールを開発したと発表しました。Space Regulatory and Sustainability Platformは、LeoLabsのレーダーネットワークからの情報を利用して、低軌道の衛星を追跡します。
NZSAは、規制当局の運用上の優先事項とポリシー指向の優先事項の両方を反映し、責任ある打ち上げ計画・運用計画ができるようにこのツールを利用していくとしています。
さらに中国科学院(Chinese Academy of Sciences、以下CAS)で今週発表された商用宇宙業界向けのクラウドベースのデータプラットフォームでも、データ通信などのビジネス利用に向けたデータのほか、軌道上の打上げ物体監視などが盛り込まれているようです。
アメリカを中心に広がるコンステレーション計画と、近年力を強めてきている発展途上国の度重なる打ち上げ等で、低軌道の混雑はこれまでにない様相を呈してきています。
すでに軌道上にある物体だけでも、物体同士の衝突によりスペースデブリが無限に増加していくと言われている中、ビジネスや国の開発を妨げることなく軌道上のバランスを整えるようなルールメイキングが、規制当局に求められてきています。
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参考記事
Megaconstellation ventures cautious about deployment milestones|SPACENEWS
LeoLabs and New Zealand announce tool to monitor low Earth orbit activity|SPACENEWS
China unveils cloud-tech platform to serve commercial space industry|news.cn