ブロックチェーンを活用した宇宙ビジネスの民主化とは【週刊宇宙ビジネスニュース 10/21〜10/27】
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ブロックチェーンを使って宇宙空間を可視化する
ブロックチェーンと宇宙、一見関係が無さそうに見える2つですが、両者を組み合わせたプロジェクトが発表されました。
その名もTruSat。衛星などの宇宙空間にある物体を、一般市民が監視するプラットフォームです。
主催するのは、2018年に宇宙資源探査ベンチャーPlanetary Resourcesを買収したブロックチェーンベンチャーのConsenSys(ブロックチェーンベンチャー「ConsenSys」の深宇宙探査ベンチャー買収の意図とは)。
宇宙状況監視(Space Situation Awareness(SSA))は衛星など宇宙空間にある物体の位置を監視することで、稼働している衛星の安全確保などに役立てられています。
今まで宇宙状況監視に関する情報はアメリカ空軍がレポートをまとめていましたが、その計算方法は非公開で、それ以外の人たちはレポートを信じるしかありませんでした。
TruSatでは、一般市民、まずは趣味で衛星を追跡している人を中心に衛星の位置情報を集め、オープンなアルゴリズムで計算することを計画しています。不特定多数から情報を集める際に、改ざんを防止する手段としてブロックチェーンを用いるようです。
サイトでは、デジカメで衛星を追跡する方法も公開されています。
https://www.trusat.org/photo
ConsenSysはTruSatだけでなく、中央集権化され限られた人しか関わることができなかった宇宙業界の課題を、非集権化を得意とするブロックチェーンの技術を使って、民主化し一般市民のものにしたいと考えています。
日本では経済産業省の2020年度の概算要求の中で以下のように述べており、日本でも今後整備が進んでいくと思われます。
宇宙ビジネスをテクノロジーで一般市民のものに。宇宙状況監視以外にも広がって欲しい流れですね。
また、監視が必要なほど混みあっている宇宙空間ですが、さらに混みあう計画も発表されています。
衛星データ処理と解析のベンチャーEOS Data Analyticsは、2022年までに25cmという高解像度のSAR(電波を使った観測方法)衛星群を打ち上げることを発表しました。
EOSのオーナーはNoosphere Venture Partnersという投資企業で、宇宙分野では他にも小型ロケットベンチャーFirefly Aerospaceや電気推進システムベンチャーSpace Electric Thruster Systemsなどへ投資を行い、宇宙業界で垂直統合を行うことを狙っています。
これまで政府の安全保障施策を担当する巨大企業が企業の買収により、衛星製造から衛星データ販売および解析までを手がける例はありましたが、ベンチャー企業の投資により垂直統合を目指すことができるようになってきたことは、これも開かれた宇宙業界への第一歩と言えるかもしれません。
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参考文献
ConsenSys Space announces crowdsourced SSA data system
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