宙畑 Sorabatake

衛星データ

海面水温とクロロフィルa濃度が見られる!「しきさい」(GCOM-C)の衛星データをTellusで公開!

本記事では12/11にTellusに搭載された「GCOM-C(しきさい)」の概要と、GCOM-C搭載によって見ることができる「海面水温」と「クロロフィルa濃度」のデータの見方についてご紹介します。

気候変動を観測する衛星「しきさい」(GCOM-C)の衛星データを、2019年12月11日よりTellusにて公開しています。

「しきさい」は気候変動の現状を観測する衛星です。「しきさい」から得られるデータは、陸地や海上に広がる植物、雲、氷の分布、地表面や海面温度、大気中にある細かい塵の量など。これらは地球環境変動観測、災害監視、資源管理のために利用することが期待されているほか、農作物の生育や黄砂の状況の把握、漁場の把握などに生かせることが期待されており、どなたでも自由に利用することができます。

この記事では、Tellusに搭載される「しきさい」データの概要とデータの活用事例などについてご紹介します。

(1) 「しきさい」のデータ概要

Credit : 文部科学省

「しきさい」に搭載されている光学センサ「SGLI」は、近紫外から熱赤外域(380nm~12 μm)を19チャンネルで観測でき、エアロゾル、植物の分布をはじめ、大気・陸域・海洋・雪氷の4つの圏にわたって28項目もの気候変動に関係する物理量を1日に地球の約半分、2日で全地球を観測することができます。

波長については、こちらの記事をご覧ください。
光の波長って何? なぜ人工衛星は人間の目に見えないものが見えるのか

「しきさい」(GCOM-C)の性能と調査対象については、以下の記事でもご紹介していますので、あわせてご覧ください。
気候変動観測衛星「しきさい(GCOM-C)」-目的、観測項目、性能、データ利用

そもそも「GCOM」って?

「しきさい」には、ひと足先に宇宙へ行った兄(姉?)とも言える衛星である「しずく」(GCOM-W)がいます。「しずく」と「しきさい」は共に地球規模の環境変化を長期的に調べることを目的にしているGCOM(Global Change Observation Mission)という計画のもとで開発されました。

Credit : JAXA

大まかにいうと、「しずく」が降水量、水蒸気量、海洋上の風速や水温、土壌の水分量、積雪の深さなどを主に観測する衛星であり、「しきさい」は雲、エアロゾル(大気中の塵)、海色、植生、雪氷などを主に観測する衛星です。

※「しずく」GCOM-WのWはWater、「しきさい」GCOM-CのCはClimateを表しています。

Credit : GCOM-Cミッションが目指すもの|GCOM-C@EORCより

(2) Tellusに搭載される「しきさい」のデータ

これまでご紹介した「しきさい」のデータの内、2019年12月11日現在、Tellusでは以下の2種類のデータを公開しています。
他のデータに関しても順次追加していく予定です。

海面水温

「しきさい」では、電磁波の中の、赤外線を用いることで海面水温(Sea Surface Temperature※以下、SST)を観測することができます。

SSTを見ることで、海の温度分布から暖流や寒流の潮の流れを把握することで、魚の集まる場所を予測し、出漁前にピンポイントで漁場を把握することが可能に。

また、SSTの観測データの蓄積によって、海水温の変化が与える気候への影響も調査することができるのです。

クロロフィルa濃度

クロロフィルa濃度は、多くの植物プランクトンが持つ光合成色素で、ほとんどの植物に含まれていることから、水域で観測されるクロロフィルa濃度は、植物プランクトンの量を示します。

この植物プランクトンは、動物プランクトンや魚のえさになるため、クロロフィルaの観測データから魚の豊富な海域-「漁場」を探索することができるわけです。

(3) Tellus OSで「しきさい」のデータを確認する方法

Tellus OSにログイン

まずTellusで必要情報を入力し、アカウントを作成して手順に沿ってTellus OSにログインします。

メタデータ検索から「GCOM-C」を選択します。

検索条件は、海面水温、クロロフィルaで絞り込むことができます。
下記の条件のデータが搭載されています。

データを選択すると、下記のようにデータを表示することができます。
2019年10月30日に観測された、日本周辺の海面水温をTellus OS上で表示しています。太平洋側は暖かく、北にいくほど温度が下がっている様子がわかります。
2019年10月30日に観測された、利根川周辺のクロロフィルa濃度をTellus OS上で表示しています。利根川の河口周辺がクロロフィル濃度が高いことが見てわかります。

(4) まとめ

以上、2019年12月11日からTellusで公開された「しきさい」についてご紹介しました。まだTellusには一か月間のデータしか搭載していませんが、今後データは随時搭載していく予定です。

「しきさい」は2017年に打ち上げられ、2018年よりデータの公開が開始されました。データ公開後利用事例も出始めており、2019年12月20日に行われる「GCOM衛星利用シンポジウム」で成果が発表されます。

宙畑編集部でも、「しきさい」を利用した漁場探しにチャレンジしており、その成果は「まさに目からウロコ! 衛星データで見つけた漁場の釣果が凄かった」の記事でも紹介しています。皆さまも、「しきさい」を利用した事例を考えてみてはいかがでしょうか。