アルテミス計画発表後初の新たな宇宙飛行士が誕生！【週刊宇宙ビジネスニュース 1/6〜1/12】
一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新！
13名の宇宙飛行士が新たに誕生
今月10日、NASAは2年間にわたる基礎訓練を終えた11名の宇宙飛行士候補者（Astronaut Candidate 通称、ASCAN）を、カナダ宇宙局は2名の宇宙飛行士候補者を宇宙飛行士として歓迎しました。2024年に有人月面着陸を目指すアルテミス計画が発表されて以来、新たな宇宙飛行士が誕生するのは今回が初めてのことです。
18,000人を超える応募者の中から選ばれた宇宙飛行士たちは、パイロットや医師の経験者や、国際関係学の学士号を持つ人もいて、非常に多彩な人材が揃っています。13名の中から、月面ミッションや火星ミッションにアサインされる宇宙飛行士が選ばれる可能性もあり、彼らの活躍が期待されます。
現在NASAには現役の宇宙飛行士が48名いますが、この春には次の候補者募集を計画しているとのことで、有人飛行プログラムが着々と進んでいることが伺えます。
スターライナー タイマーの誤作動について調査は2ヶ月かかる見込み
一方で、有人宇宙飛行を支える技術面では、課題も多く残っています。昨年12月に無人テスト飛行を実施したものの、タイマーの誤作動によりISSへのドッキングを断念した、ボーイングのCST-100 Starliner（以下、スターライナー）は、退役したスペースシャトルに代わる米国独自の有人宇宙船です。
今月7日に、NASAはボーイングと共同で調査を行う旨を発表しました。タイマーの誤作動の原因追求やその他のソフトウェアに不具合がなかったか調査するにあたり、およそ2ヶ月間かかる見込みとのことです。また、有人テスト飛行の前にもう一度無人テスト飛行の実施が必要かどうかも並行して検討されます。
NASAとボーイングの両社はスターライナーの帰還以降、タイマーの誤作動に関する追加情報は公開していません。ボーイングの関係者は、スターライナー はアトラス5のデータを利用してタイマーを設定していたが、誤ったデータにアクセスした可能性があると述べています。
NASA VIPERのランダーの発注タスクオーダーを延期
さらに8日、NASAは月極地探査ローバー・VIPER（Volatiles Investigating Polar Exploration Rover）のランダー（着陸機）の発注を延期する旨を発表しました。
VIPERは月の南極で氷水のありかを探索するローバーで、2022年に打ち上げる予定です。同ミッションは、アルテミス計画のうちの一つ。月に水の所在やその埋蔵量がわかれば、人類が月に長期的に滞在することが可能になり、さらには火星やその先の惑星探査実施の可能性も広がります。
今回の延期は、CLPS（the Commercial Lunar Payload Services 商用月面探査機サービス）参加企業とのディスカッションのフィードバックを反映した結果とのことで、難点はVIPERの送達方法にあるようです。
VIPERは350キログラム級の大型ランダーで、製造開発が可能なのはCLPSに参加している14社の中でも、Blue Origin、Lockheed Martin、SpaceXなど数社に限られます。
小型ランダーの開発を行っている企業からは、VIPERのランダーの製造開発により、CLPSの予算の大部分が消化されてしまうことにより、そのほかの開発契約や発注に遅れが出るのではないかと懸念する声が上がっています。
また、2020年度のCLPSにおける予算法案では、米国で設計および開発、製造されたものにのみ資金が提供される可能性が示唆されています。
NASAは当初から、製造に関しては米国内で実施することを条件付けていましたが、参加企業が海外企業と提携することに関しては制限していません。CLPSの参加企業であるDraperは日本のispaceと提携、Fireflyは2019年4月に月面着陸を試みたIsrael Aerospace Industriesからランダーの設計ライセンスを取得しています。各社の入札に関して、海外企業との提携が影響を及ぼすのか注意して見守る必要がありそうです。
今週の宇宙ニュース
民間宇宙産業の市場規模を経済分析局が調査！【週刊宇宙ビジネスニュース 1/6〜1/12】
「Tellus」で衛星データを触ってみよう！
日本発のオープン＆フリーなデータプラットフォーム「Tellus」で、まずは衛星データを見て、触ってみませんか？
★Tellusの利用登録はこちらから
参考
NASA’s Newest Astronauts Ready for Space Station, Moon, and Mars Missions
One of NASA's new 'Turtle' astronauts may walk on the moon ... or even Mars
Joint NASA-Boeing team to investigate Starliner test flight anomaly
