民間宇宙産業の市場規模を経済分析局が調査!【週刊宇宙ビジネスニュース 1/6〜1/12】
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民間宇宙産業の市場規模を経済分析局(BEA)が発表
民間宇宙産業が今後どの程度の市場規模になるかという問いに関しては、様々な人や報告書が予測を打ち出しています。例えば、米国商務省長官であるウィルバー・ロス氏は、少なくとも20年以内に民間宇宙産業は1兆ドルの市場になると発言しています。
宙畑でも度々引用しているBryce Space and Technologyが2019年5月に公開したレポートでは、2018年の民間宇宙産業の市場は3600億ドルと推定され、年3%の成長率と結論付けています。The Space Foundationが2019年7月に公開した年次レポートでは、2018年の民間宇宙産業の市場は4150億ドルと推定され、年8%の成長率と結論付けています。
※Bryce Space and TechnologyとThe Space Foundationとは、宇宙産業のことを調べて毎年レポートを発行している調査機関の名称です。
上図では、2018年までの予測は実測値として実線で表現して、将来予測は点線で表現しています。
2014年以降はBryce Space and Technologyが発行しているState of the Satellite Industry Reportを、2014年以前はThe Space Foundationが発行している年次レポートを参考に宙畑が作成した図となっています。
敢えて単純計算をしてみると、Bryce Space and Technologyの数値では民間宇宙産業の市場は2040年に約6900億ドル、The Space Foundationの数値では民間宇宙産業の市場は2040年に約2兆2500億ドルという数値になり、数値には大きな差があることが分かります。
経済分析局(BEA)の一つの組織であるThe Space Economy Satellite Account (SESA)は、米国における民間宇宙産業の重要性を測定するために設立された新しい組織です。本記事では、SESAが2019年12月に公開したレポート”Measuring the Value of the U.S. Space Economy”をひも解いて行きたいと思います。
宇宙市場と民間宇宙商業領域の定義
SESAの今回のレポートの特徴の一つが、宇宙産業における”宇宙市場(space economy)”と”民間宇宙(commercial space.)”を定義している点です。
SESAは、BEAの包括的なsupply-use tables (SUTs)を使用して構築されており、米国経済の内部構造を明らかにすることに寄与しています。
下記表は、既存資料における、宇宙市場と民間宇宙活動の定義一覧です。
これを見ると分かるように、宇宙経済および商業宇宙活動に関連する多くの定義は、さまざまな民間および政府機関からすでに存在しています。
一例をとると、Congressional Research Serviceのレポートでは、「宇宙産業」を「地球の軌道または深宇宙へのコンポーネントの製造と輸送に関連する経済活動」と定義しています。これらにおいて多くの場合、宇宙経済の民需の側面と官需の側面と両方を含有しています。
1958年にNASAが設立されて以来、米国における民間による宇宙活動と政府の宇宙活動は絡み合ってきました。
1960年代に民間の支援を受けた通信衛星が最初に軌道に投入されたときに、民間宇宙活動の領域が拡大しました。
1984年には日本の宇宙活動法にあたる”Commercial Space Launch Act”が議会によって可決され、商業打ち上げのガイドラインが確立されました。
2012年には、民間の宇宙船(SpaceX Dragon)が初めて国際宇宙ステーションに貨物を輸送し、同社による取り組みは現在も続いています。
このように、SESAで商業宇宙活動の測定方法を検討する際、政府系宇宙活動と商業宇宙活動はかなりの重複があるのは事実です。
しかし、商業宇宙活動の測定の課題は、ジョージワシントン大学宇宙政策研究所が作成したレポートで強調されており、民間宇宙活動を政府宇宙プログラムから分離することはしばしば不可能であると述べています。したがって、SESAの中では、明確に民間宇宙活動と政府系宇宙活動を分離していません。
また、SESAの最初の試みとして、BEAはOECD宇宙経済の定義と特定のNAICS産業に注目して、新しい統計のフレームワークの開発に着手するようです。
具体的には、
・建設業
・耐久性のある製造業
・卸売業
・情報
・宿泊業とフードサービス
などが、宇宙産業と関連がある特定の産業と、SESAのレポートで言及されています。
さらに、GDP・雇用、産業別の報酬などの情報をまとめたSESAの次のレポートは、2020年後半にリリースされる予定とのことです。今後のレポートも楽しみです。
中国のロケットベンチャーが資金調達に成功
2018年2月に設立された中国のロケットベンチャーであるGalactic Energyが、シードラウンドの資金調達に成功しました。Puhua CapitalとHuaqiang Capitalをリードインベスターとして、その他6つの投資家が参加しました。調達額の総額は2150万ドルにのぼり、資金は2020年前半打ち上げ予定の固体ロケットCeres-1に使用されるそうです。同社の調達額の合計は、4300万ドルにのぼり、順調な資金調達に成功しているのが分かります。
Ceres-1は、ポリブタジエン燃料を使用する3つの固体ステージと、液体燃料を使用する第4段ステージで構成されます。打ち上げ能力としては、350kgのペイロードを地球低軌道に投入可能となっています。
Galactic Energyの競合にあたる、中国の他のロケットベンチャーのLandspace・OneSpace・iSpaceも、軽量の固体ロケットの打ち上げを既に実施しています。
日本のロケットベンチャーであるインターステラテクノロジズ社は液体燃料ロケットの開発に着手していますが、中国のロケットベンチャーの多くは固体燃料ロケットの開発に着手しているのは興味深いですね。
現在は固体ロケットを開発していると言われているGalactic Energyですが、Pallas-1という燃料にケロシンを使用する液体燃料ロケットの開発に着手しているとの報道もあります。Pallas-1は、2022年後半に試験飛行を実施するスケジュールで動いているようで、地球低軌道に4tの打ち上げ能力があるそうです。また、第1段の再利用も検討しています。
中国では、2015年に民間企業によるロケット開発が許可されてから、民間ロケットベンチャーの台頭が目覚ましいです。2018年から2年連続で世界で最もロケットを打ち上げている国が中国です。そこには、民間ロケットベンチャーの貢献も確かにあります。
今後の益々加速する中国の民間宇宙産業からは、目が離せません!
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