ルクセンブルク政府が宇宙特化型ファンドに出資の発表、その金額は?【週刊宇宙ビジネスニュース 1/13〜1/19】
一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!
ルクセンブルクがOrbital Venturesに出資
1月16日、ルクセンブルク政府はOrbital Venturesに出資した旨を明らかにしました。Orbital Venturesは、官民パートナーシップを目的に設立された、ルクセンブルクを拠点とする投資ファンドです。初回となる今回のクロージングでは同国経済省のほかに、大手国際企業や機関投資家を含む9名の投資家が参画しました。ルクセンブルク政府は出資額を非公開としていますが、同ファンドは7000万ユーロ(約85億円)を資金として有していることのことです。
Orbital Venturesは、すでに製品やサービスが収益を上げている、もしくは近い将来に収益を上げる可能性がある企業を対象としています。経済省の研究部長を務めるマリオ・グロッツ氏は、2019年10月に開催された国際宇宙会議(IAC)でのインタビューで、Orbital Venturesは宇宙資源に関連するものだけでなく、宇宙スタートアップ全般を幅広く投資対象とすると話しました。
ルクセンブルクの副首相兼経済大臣のエティエンヌ・シュナイダー氏は、「これまで培ってきた専門知識とパートナーシップを活用して、宇宙開発を商業化するためのケースを策定できることを誇りに思っています」とコメントしています。
宇宙ビジネス活性化に向け、各国に先駆けて次々と施策を打つルクセンブルク。今回の施策により、同国内を本拠地とする世界最大手の運用会社であるSESに続く企業が生まれるのか、どのようなスタートアップが集まるのか楽しみですね。
ESA、EUとのパートナーシップ締結に難航
ESA(European Space Agency 欧州宇宙機関)長官、ヨーハン=ディートリッヒ・ヴァーナー氏は、15日にパリ本部で行われた記者会見で、コペルニクスやガリレオなどの地球観測プログラム費用をEUとどのように分担するか、パートナーシップの締結を交渉している旨を明らかにしました。
ESAでは、GDPに基づいて加盟国が義務的に支払うものがあるほか、「選択参加制」という仕組みが導入されていて、プロジェクトごとに参加を表明して資金提供の割合を自由に決めることができます。今年度のESAの総予算は66.8億ユーロで、その70%は加盟国からのものです。
そのほかは、EUからおよそ23%、残り7%は気象庁や産業界との官民パートナーシップを含む機関や団体から提供を受けています。
EUは、2021年から2027年かけて、宇宙プログラムの多年次財務フレームワーク(Multiannual financial framework 以下、MFF )を提供する予定です。
2019年12月に公表した改訂版MFFでは、当初の予算の4分の1が削減された127億ユーロが提案され、未だ最終的な合意に至っていません。ESA長官のヴァーナー氏は、ESAとEUのMFFに関する議論は始まったばかりであるとコメントしました。
ESAに限らず各国の宇宙機関の予算は今後、NASAが主導となって進める月軌道ゲートウェイの構築やISSの運用延長に充てられる割合が多くなるのではないでしょうか。比較的すぐに地上での生活に利益をもたらす地球観測分野の予算の調達は、注目したいポイントの一つと言えます。
今週の宇宙ニュース
独自の軌道投入システムを検討するSpinLaunchが3500万ドルを調達!【週刊宇宙ビジネスニュース 1/13〜1/19】
参考
LUXEMBOURG BACKS SPACE TECHNOLOGY VENTURE CAPITAL FUND
LUXEMBOURG INVESTS IN FUND FOR SPACE TECHNOLOGIES
Luxembourg establishes space industry venture fund
ESA seeks new cooperative agreement with EU