ニュース 2020/4/13

ISSからの宇宙犯罪容疑は告訴取り下げ。一転しNASAが元パートナーを起訴へ【週刊宇宙ビジネスニュース 4/6〜4/12】

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ISSからの宇宙犯罪容疑は告訴取り下げ。一転しNASAが元パートナーを起訴へ

NASAの宇宙飛行士がISSから元パートナーの銀行口座に不正にアクセスしたと訴えを起こされた件について、4月6日にヒューストン連邦大陪審は告訴を取り下げたことを発表しました。

事件は、2019年8月に、アン・マクレイン（Anne McClain）宇宙飛行士の元パートナーであるサマー・ワーデン（Summer Worden）氏は自身の銀行口座に、マクレイン氏が不正にアクセスしたと通報したことが発端です。宇宙空間で起きた初の犯罪にあたる可能性があるとして、当時大きな注目を集めました。

宙畑メモ
ISSにおける事件の刑事裁判権は国際宇宙基地協力協定で、容疑者の国の法律に基づいて対応すると定められています。今回は、事件の容疑者マクレイン氏の国籍国はアメリカであるため、アメリカの法律で手続きが進められました。

ワーデン氏の主張は、共同で使用していた口座を離婚後にアクセス権限を変更したにも関わらず、マクレイン氏が口座にアクセスしたのは不正行為に当たるのではないかというものです。一方、マクレイン氏は、以前と同様のパスワードでアクセスし、子どもの養育費が十分にあるか確認しただけであるとアクセスしたこと自体は認めながらも、不正アクセスではないと容疑を否認していました。

調査の結果、ワーデン氏が主張していた口座開設やアクセス権限変更の時系列が事実と異なることから、NASAと連邦取引委員会に虚偽の陳述をしたとして、ワーデン氏を起訴しました。有罪判決が下った場合は、最高で5年の懲役と25万ドルの罰金が科せられる可能性があります。

VOX Spaceが米国宇宙軍との契約を獲得

4月10日に、政府機関向けに打ち上げサービスを提供するVOX Spaceが米国宇宙軍と契約を締結したことを発表しました。

VOX Spaceは、衛星の打ち上げを手掛けるベンチャー企業 Virgin Orbit（ヴァージン・オービット）の子会社で、機体の製造・開発はVirgin Orbit、サービスの提供はVOX Spaceが手掛けます。

打ち上げは、ボーイング747を改修した「Cosmic Girl」に、衛星を搭載した「LauncherOne」を吊り下げて発射し輸送する仕組みとなっています。

契約金は3回の打ち上げで3,500万ドル。初回の打ち上げは、2021年10月の見込みです。

医療機器の緊急製造に続々と名乗りを上げる宇宙関連企業。そのわけは

新型コロナウイルス感染症（COVID-19）のパンデミックを受けて、SpaceXに続き、各国の宇宙関連企業が医療機器の緊急製造に協力するというニュースが多く報道されました。

有人宇宙旅行サービスの提供を計画しているVirgin Galactic（ヴァージン・ギャラクティック）は、米国・カリフォルニア州のアンテロープバレー病院からリクエストを受け、NASAの職員や大学、市の専門家らとタスクフォースを編成。医療機器の設計・製造、医療従事者の感染を防ぐ効果が期待される、防護服の着脱をする部屋の設計・構築を行いました。

さらに、打ち上げサービスを提供するUnited Launch Alliance（ユナイテッド・ローンチ・アライアンス）やロケットの製造開発を行うBlue Origin（ブルー・オリジン）、軌道上で3Dプリントを実現するベンチャー企業・Made In Space（メイド・イン・スペース）が、フェイスシールドをはじめとする医療物資や機器の製造を開始しました。

これらの活動の背景には、航空宇宙業界は比較的に3Dプリンターの導入が進んでおり、製品の製造に取り掛かるハードルが低いことが理由の一つとしてあるのではないでしょうか。

3Dプリンターは、特に航空宇宙業界や自動車メーカー、医療機器メーカーで活用が進んでいると言われています。中でも航空宇宙分野で使用される部品は、燃費の向上や輸送費削減につながる軽量化のニーズが強く、中空化や肉抜きといった複雑な形状の造形も可能な3Dプリンターは、大手企業からスタートアップまで幅広いプレイヤーの間で導入されています。

ニュース 宙畑編集部