Virgin Galactic 新CEOにディズニー幹部のコルグラジア氏が就任【週刊宇宙ビジネスニュース 7/13〜7/19】
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IST ねじのロケットは不具合により緊急停止。7月中の打ち上げを目指す
7月19日、打ち上げ輸送サービスの提供を目指すインターステラテクノロジズ(IST)は、観測ロケット「ねじのロケット」の打ち上げを試みましたが、メインエンジンの点火器の温度上昇が確認できず打ち上げを緊急停止しました。
今回の打ち上げは当初7月18日を予定していましたが、天候の都合で19日に変更。午前中のウィンドウでも強風が続いており打ち上げを見送っていましたが、夕方になりようやく打ち上げが行える状況になったとSNSでは応援するファンの声が多く見受けられていました。
同社は6月14日にも、観測ロケットMOMO5号機の打ち上げを実施しましたが、上昇中にノズルが破損し緊急停止。同日の記者会見で代表の稲川氏は、品質の向上に努める方針を示していただけに残念に思われますが、今回は幸いにも機体の損失は免れています。7月19日に行われた記者会見で稲川氏は、点火器周辺の部品を交換するなどの対応を行い、7月中の再打ち上げを目指したいと話しました。
衛星推進系ベンチャーにピーター・カント氏がジョイン
7月17日、衛星に搭載する推進系を開発するAccion Systems(アクシオン・システムズ)にPeter Kant(ピーター・カント)氏がCEOとしてジョインしたことを発表しました。
カント氏は、世界最大級の研究機関SRIインターナショナルで副社長、セキュリティ業界向けに人工知能を活用したサービスを展開するSynapse Technology(シナプス・テクノロジー) でCEOを務めた経験があり、テクノロジーとビジネスに精通した人物です。Accion Systems には2020年2月に取締役として参画。今後は、会社の成長と同社の強みであるイオン液体推進剤の商品化に注力していくとのことです。
これまでCEOを務めていたNatalya Bailey(ナタリヤ・ベイリー)氏は、CTOに就任します。
Accion Systemsは、2014年創業のベンチャー企業。これまで培ってきた技術をサービス化して、次なるとフェーズへと移行したい考えが透けて見えます。
Virgin Galactic 新CEOにディズニー幹部のコルグラジア氏が就任
さらに、7月20日には、民間企業初の宇宙旅行サービスの提供を目指すVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は、新たに最高経営責任者(CEO)を迎えたことを発表しました。
CEOに就任したのは、Disney Park Internationalで社長兼ディレクターを務めていたMichael Colglazier(マイケル・コルグラジア)氏。30年以上にわたるディズニーでの経験を活かして、顧客体験の向上を目指したい考えです。
これまでCEOを務めていた、George Whitesides(ジョージ・ホワイトサイズ)氏は、機体や宇宙旅行自体に開発に焦点を当てた、最高宇宙責任者(Chief Space Officer)に就任しました。入社当初30名規模だったVirgin Galacticを、従業員数900名を超える上場企業へと変革させたホワイトサイズ氏は、「当社の最初のCEOを務められたのは、一生の名誉であり、冒険でした。Virgin Galacticの次の10年間は商業活動が中心であり、マイケルのような先見の明があるリーダーと会社を前身させる絶好の機会です」とコメントしています。
Virgin Galacticは、2019年11月に民間宇宙旅行会社として初の上場を成し遂げ、株価の上昇でも話題を集めました。同社は、2020年5月と6月に最終段階にあたるSpacePort Americaからの訓練飛行に成功しています。今回コルグラジア氏がジョインしたことで、Virgin Galacticの宇宙旅行サービスが現実のものとなる日が迫っているように感じられます。
宇宙ビジネスにおいては、技術開発とサービス化の二段階の重要なステップがあり、その両方で知見があり企業にフィットする人材を採用できるかが成長の鍵となるのではないでしょうか。