Starlinerの打ち上げが延期。重なるISSのトラブル【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/7/26〜8/1】
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Starlinerの打ち上げが延期。重なるISSのトラブル
Boeingの新型宇宙船CST-100 STARLINERが、7/29に予定していた打ち上げ日を8/3に延期しました。
Starlinerは、NASAがCommercial Crew ProgramとしてSpaceXのCrew Dragonと同時に採択している宇宙船です。本ミッションは約一年半ぶりとなる無人軌道飛行試験(OFT-2)で、今回の試験飛行は、国際宇宙ステーション(ISS)へ輸送する宇宙飛行士をStarlinerに搭乗させるための重要な検証データとなります。Starlinerには、約180kgの貨物が搭載されます。
今回の延期の原因として、複数のトラブルが影響しています。
- ・7月29日に国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングしたロシアの多目的実験モジュールNaukaが、ドッキング後にスラスタ―を誤って噴射。その影響でISSが最大45°回転。
- ・ISSのロシアモジュールであるZvezdaから空気の漏れが検知され、船内圧力が154mmHgまで低下。
ICYMI: Earlier today, the Russian Nauka module inadvertently fired its thrusters while docked to the @Space_Station. Mission Control teams corrected the action and all systems are operating normally. The crew was never in any danger. Stay tuned for a media telecon later today: pic.twitter.com/bjuDmdiZu5
— NASA (@NASA) July 29, 2021
ISSは国際ミッションであり、様々な国のモジュールで構成されています。そのため、1つのトラブルが他国の様々なミッションに影響するリスクをはらんでいます。
ISSは、2024年以降、運用を民間へ移行し運用は継続される予定ですが、ロシアは離脱する予定となっています。また、ISSの老朽化も課題であり、より安全な運用体制が求められていくでしょう。
自国の宇宙ステーション計画を進める中国など、各国や民間企業がどのようにISSを活用していくのか今後とも注目です。
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