ミュンヘン工科大学発ロケットベンチャーIsar Aerospaceの初打ち上げにドイツ政府ら7機の衛星が搭載へ【宇宙ビジネスニュース】
【2021年12月20日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
12月13日、小型ロケットを開発するミュンヘン工科大学発のベンチャー企業Isar Aerospaceが2022年末に予定している初の飛行試験のペイロードとして、ドイツとノルウェー、スロベニアの5つの機関の合計7機の小型衛星が搭載されることが発表されました。
ドイツ政府が衛星の打ち上げを民間のロケット事業者に委託するのは、今回が初めてとのことです。
Isar Aerospaceは2021年4月にドイツ航空宇宙センター(DLR)による小型ロケットを開発するスタートアップ企業のコンペティションで選定され、助成金と2022年から2023年に2度の試験打ち上げの資格を獲得していました。
失敗のリスクもある試験飛行に政府機関が顧客として参画する様子から、ロケット事業者の成長を図ろうとする姿勢が読み取れます。
Isar Aerospaceは2018年に創業し、累計1億8000万ドル以上を調達しています。
開発中のロケット「Spectrum」は、地球低軌道(LEO)に1,000kg、太陽同期軌道(SSO)に700kgのペイロードを輸送できるように設計されています。
さらに15日は、超小型IoT衛星を開発するスイスのベンチャー企業Astrocastと打ち上げ契約を締結したことを発表しました。機数は明らかになっていませんが、ライドシェアミッションで2024年初頭までに打ち上げられる予定です。
Isar Aerospaceは、Airbus Defence and SpaceやOroraTechとの打ち上げ契約締結も発表しており、商業化に向けて進んでいる様子がうかがえます。
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参考
Isar Aerospace signs firm launch contract with Swiss IoT network company Astrocast
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