ヨーロッパ初のエアローンチ方式のロケット射場Prestwick Spaceportが開港手続きを開始【宇宙ビジネスニュース】
【2022年1月11日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
ヨーロッパ初のエアローンチ方式のロケット射場Prestwick Spaceportが開港手続きを開始
スコットランドのサウス・エアシャー州議会は、州内のロケット射場Prestwick Spaceportの射場開発の手続きを開始したことを発表しました。
Prestwick Spaceportからの打ち上げは、エアローンチ(空中発射)と呼ばれる方法になります。小型衛星を搭載したロケットを専用の航空機で運搬し、高度10km程度でロケットのエンジンを点火し小型衛星を軌道投入します。Prestwick Spaceportが正式に開港すると、ヨーロッパで初のエアローンチのロケット射場となります。
Prestwick Spaceportは、英国のエアローンチ事業に取り組むAstraiusとのMoUを2021年9月に締結しており、2023年末までに最初のロケット打ち上げの実施を目指しています。
今まで欧州のロケットの射場としては、南米ギニアの射場がArianespaceをはじめ多くの打ち上げで利用されています。しかし近年需要が増加している地球低軌道に投入する小型衛星の場合は必ずしも射場が低緯度である必要がないため、欧州内の高緯度な射場開発が盛んになってきています。
2015年創業の英国発ロケットベンチャー企業のOrbexは、スコットランド北部に位置するThe Space Hub Sutherlandからの打ち上げを予定しているほか、2017年創業でスコットランドに拠点を置くSkyroraは、アイスランドのランガネス半島からの試験飛行をすでに実施しています。また、ドイツのロケットベンチャー企業のRocket Factory Augsburg (RFA)は、Andøya Spaceが開発するノルウェーの射場からの打ち上げを予定しています。
様々な射場が整備されることで、多種多様な打ち上げに対応することができます。各国の射場開発にも引き続き注目です。
宙畑編集部のおすすめ関連記事
北欧の射場開発を進めるAndøya Spaceがドイツのロケット企業RFAと打ち上げ契約を発表 【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/4/26〜5/2】
射場の条件と合わせて学ぶ、続々と増える世界のロケット射場まとめ
Virgin Orbit社 英国と日本で新たにサービス拡大へ【週刊宇宙ビジネスニュース06/03〜06/10】
今週の宇宙ビジネスニュース
HughesとAirtelがインドで合弁企業を設立。インドにおける衛星通信サービス展開を加速【宇宙ビジネスニュース】
AlexaとWebexで宇宙飛行士の業務を効率化。アルテミスⅠに搭載されるCallistoに期待すること【宇宙ビジネスニュース】
参考記事
Prestwick Spaceport: Planning Application Notice Filed
Prestwick Spaceport moves closer to lift off with Astraius partnership