衛星データ等を用いた発災情報の提供にかかる時間を大幅短縮へ。Satellogicと災害情報プロバイダーが協業【宇宙ビジネスニュース】
【2022年5月16日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
5月12日、地球観測衛星のコンステレーション構築を進めるSatellogicとリアルタイムに災害情報を提供するMayday.aiの2社が協業を発表しました。
Satellogicは2010年にアルゼンチンで設立されたベンチャー企業で、農業や森林管理など様々な分野にサービスを提供しています。同社の衛星は、マルチスペクトルセンサやハイパースペクトルセンサなど、複数のセンサを搭載しているのが特徴です。
2022年1月に、特別買収目的会社と合併して株式市場に上場する、いわゆるSPAC上場を果たしました。4月に衛星5機を打ち上げ、同社が軌道上で運用する衛星は22機。5月4日には衛星67機の複数打ち上げ契約をSpaceXと締結したことを発表するなど、事業を加速させています。
ドイツに拠点を置くベンチャー企業Mayday.aiは、衛星データやソーシャルメディア等の情報をAIで解析し、世界全地域の災害情報を提供しています。同サービスは政府機関や保険会社、個人ユーザーなど幅広い層がターゲットとなっています。
プレスリリースによると、SatellogicとMayday.aiの間でデータがスムーズに共有されるようになることで、通常は発災後に衛星データを取得し、解析するまでに数日かかっていた工程が、将来的には数分まで短縮できるようになるとのことです。
さらに、Satellogicは5月11日に、地理空間開発のプラットフォームやマーケットプレイスを運用するUP42と提携したことを発表しました。これにより、UP42のプラットフォームのユーザーは、Satellogicの高解像度のマルチスペクトル画像や広域のハイパースペクトル画像に直接アクセスできるようになります。
データを取得する衛星事業者とサービスプロバイダーによる提携は今後も進んでいくのではないかと考えられます。
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参考
Mayday.ai and Satellogic Collaborate to Modernize Risk and Disaster Intelligence
Satellogic and UP42 Team Up to Offer Rapid Monitoring Capabilities