ドイツ発ロケットベンチャー打ち上げに成功!従来よりコスト50%減の次世代ロケット推進システム実現へ
【2024年5月6日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
5月3日、ドイツ発のロケットベンチャーである、HyImulse Technologies社は商業化に向けた単段式ロケット(SR-75)の打ち上げに成功したと発表しました。
今回打ち上げられた機体(SR-75)は、全長12m、総重量2.5tの単段式ロケットで、250kmの軌道高度へ最大250kgの小型衛星を投入する能力を有するそうです。
同社は、キャンドルワックスで知られる固体パラフィンと液体酸素を用いた、新しいロケット用推進システムの実用化を目指しています。パラフィンは比較的安価で燃料としての安全性も高く、従来のロケット用推進剤に代替するものとして期待されています。リリースによると、この推進システムを用いることで、従来のケロシン燃料のロケットに対し、最終的に50%のコスト低減が実現できるそう。
今後、打ち上げられた機体(SR-75)は回収され、機体の検査やデータ解析など、今回の飛行試験で得られた情報の調査が進められる予定です。後述の次の機体の開発やフライトにつながる多くの知見が得られることが期待されます。
同社の共同創業者・共同CEOであるクリスチャン・シュミエール博士は、一連の取り組みについて以下のように述べています。 「当社のコンセプトは、小型衛星を宇宙へコスト効率よく輸送するために設計されています。これにより、民間資金による環境・気候プロジェクト、研究プロジェクト、測位、通信などが実現されます。」
また、次のロケットである、全長32m、総重量50tの多段式のロケット(SL1)の開発も進められており、同機体の初飛行を、2025年中に計画しているそうです。このロケットは、600kgの小型衛星を軌道高度500km以上に投入する能力があるとのことです。このロケットが実現すれば、小型衛星をLEO(Low Earth Orbit)に届ける、十分低コストな輸送サービスが提供されるでしょう。
宙畑編集部のおすすめ関連記事
「業界が違うと躊躇するのはもったいない」ISTに学ぶロケットの基礎とロケット開発に求められる人材とは
「小型ロケット事業は次の段階へ」ロケットベンチャー最前線、インターステラテクノロジズの現在地
3Dプリンター、水推進、衛星間光通信……宇宙ビジネスを変革する要素技術7選
今週の宇宙ニュース
Maxarが新型の高分解能衛星Legionの打ち上げに成功!30cm分解能で高頻度コンステの実現へ
アクセルスペースが撮影サブスクリプションを開始!メディア・報道への利用拡大に期待
参考
HyImpulse: German space company successfully launches first commercially viable launch vehicle.