防衛テックのモデルケースとなるか?スカイゲートテクノロジズ、6社から約10億円調達を実施
2025年6月26日、スカイゲートテクノロジズは、約10億円の資金調達を完了したことを発表しました。
2025年6月26日、スカイゲートテクノロジズは、既存投資家の慶應イノベーション・イニシアティブやジェネシア・ベンチャーズを含む計6社から、約10億円の資金調達を完了したことを発表しました。
同社は、防衛省・自衛隊出身のメンバーの知見と先端ソフトウェア技術を生かし、防衛・セキュリティ課題を解決するスタートアップです。防衛領域において、宇宙・サイバー・電磁波領域への統合指揮統制を実現する唯一無二のプラットフォーム「Skygate JADC2 Alayasiki」の開発を進めています。
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今回の資金調達では、ジャフコグループ、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、りそなキャピタルが新たに参加しています。
国際安全保障環境が複雑かつ悪化する中、日本政府は2022年に国家安全保障戦略を定め、防衛関係費が2022年度の5.4兆円規模だったところから2025年度には8兆円を超える予算まで増額するなど、日本政府における安全保障に関する政策が大きく動いています。
その一環として注目されているのが、スタートアップなど、民間の先端技術による防衛力強化です。特に、情報・指揮統制機能の高度化やAI・宇宙・サイバー・電磁波などの新領域における対策など、高度な防衛技術(防衛テック)が求められています。
今回調達した資金は、防衛省案件を獲得・安定的に運用するために、より大型案件受注に繋がる資本増強(入札参加資格の等級引き上げ)や組織作り・システム開発体制の強化に当てられる予定とのこと。
スカイゲートテクノロジズ CEOの粟津さんは、次のようにコメントしています。
「この度、新たにジャフコグループ株式会社様、三菱UFJキャピタル株式会社様、SMBCベンチャーキャピタル株式会社様、りそなキャピタル株式会社様を株主としてお迎えし、当社の事業を加速できることを改めて嬉しく思います。昨今の安全保障環境の厳しさとそれにまつわる防衛課題は、非常に喫緊の社会課題であることは間違いありません。自身の自衛官とスタートアップという2つの異なる責務の経験から、社会の安全や安定に寄与するテクノロジーとプロダクトの存在が今後必要不可欠であり、また多くの人々・組織にとって健全な発展につながることを深く確信しております。今回の資金調達を、市場からの信託を賜ったと捉えて、誠実な取り組みと事業の拡大に邁進いたします。」
ジェネシア・ベンチャーズの一戸さんは、次のようにコメントしています。
「粟津さんと初めてお会いした約 2 年前、⽇本ではまだ『防衛テック』はほとんど認知されていませんでした。それ以降、防衛産業の重要性や、スタートアップとして取り組む意義と可能性について、粟津さんと⼀緒に様々な⽅との対話を通じてお伝えし、結果的に今回の資⾦調達を実現できたのではないかと考えております。⽇本の主権を維持する上で絶対的に必要不可⽋な防衛産業において、当社は国内を基盤としたソフトウェアのサプライチェーンを築き上げることを⽬指していますが、今回の資⾦調達はそれに向けた⼤きな⼀歩になることでしょう。今後も強い責任感と使命感を感じつつ、精⼀杯頑張ります。 」
日本における安全保障に関する技術開発の重要性と必要性は増す一方で、同社のように、本格的に防衛テックに取り組むスタートアップはまだ少ない状況と考えられます。同社は、今回の資金調達を足掛かりに、指揮統制・情報統合を担う中核的な存在となり、日本の防衛テック企業のモデルケースとなることが期待されます。
【参考記事】
・https://www.skygate-tech.com/news/skygate-technologies-raises-funds-from-jafco-and-other-big-bank-capitals
・https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000172.000056091.html
・https://www.genesiaventures.com/skygatetechnologies-players25/