「あなたのスキルは宇宙業界でどう活かせる?」24の質問で宇宙ビジネスでの活躍チャンスを把握できるサービスの開発者インタビュー
2025年10月30日に発表された宇宙スキル標準をもとにした宇宙業界のキャリア診断サービス。その開発者に開発の背景や宇宙ビジネスに興味を持ったきっかけを伺いました。
2025年10月30日、Xに以下のような興味深いポストが投稿されました。投稿者は「人類のアウトプットを増やす」をミッションにオリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI byGMOペパボ」やハンドメイドマーケット「minne byGMOペパボ」を運営するGMOペパボ株式会社取締役CTOの栗林健太郎さん(@kentaro)です。
内閣府が公開している「宇宙スキル標準(試作版)」をもとに、誰でも自分の宇宙スキルをセルフアセスメントできるWebサービスをつくりました。
宇宙ビジネスに興味はあるけれど、「実際にどんな仕事があるの?」「自分に何ができるの?」と感じている人は多いはず。
衛星開発、データ解析、法制度、教育・広報まで、宇宙ビジネスを支える多様な職能を体系的に整理。スライダーで直感的に自己評価すれば、自分がどの分野と親和性があるかがすぐに見えてきます。
宇宙産業の“地図”を、誰もが手に取れるかたちにしたかった。「宇宙に関わる」ことを特別な人だけのものにしない——その一歩として、このサービスをつくりました。
実際に作成されたサービスは「宇宙業界のキャリア診断」です。ぜひ読者の皆様も診断してみてください。
宇宙スキル標準とは「日本の宇宙業界のための標準的なスキルブック」として、内閣府宇宙開発戦略推進事務局が主導して作成が進められている、宇宙開発分野の人材基盤の強化を目的とした国内宇宙業界全体で統一した人材指標です。
【宇宙業界転職の道しるべに】「宇宙開発人材スキル可視化」プロジェクトが生まれた背景と展望
「『異分野からのエンジニア転職が日本の宇宙産業成長の起爆剤』宇宙ビジネス時代に必要な人材と『宇宙スキル標準』が生まれるまで」では、宇宙スキル標準が人材エージェント企業のコミュニケーション円滑化につながっていることを紹介しました。
しかし、宇宙スキル標準の想定活用方法はそれだけにとどまりません。宇宙スキル標準に関するオンライン説明会では以下のようなスライドが説明に使われていました。
今回のサービス「宇宙業界のキャリア診断」は、上記のスライドにおいては、個人の就職活動用途に該当するでしょう。
とはいえ、GMOペパボのCTOである栗林さんがこのサービスを作ろうと思われたきっかけは?投稿を拝見する限り誰かに依頼されて作成されたものではなさそう……?
実際に栗林さんに直接お話をうかがう機会をいただき、作成のきっかけや思いを伺いました。
思い立ってから半日で作成!? 宇宙ビジネスに興味を持たれた3つの理由
まず最初にうかがったのは栗林さんが宇宙ビジネスに興味を持たれた理由。栗林さんは、宇宙ビジネスに注目したのには3つの理由があったと話します。
「ひとつは、新規事業開発を担当する中で、市場調査を進める際に宇宙産業が今後さらに大きくなるのは明白であり、情報を追いかけています。2つ目は、2025年3月に情報科学の博士号を取得し、コンピュータサイエンスやWeb開発をこれまで行ってきた中で、そのバックグラウンドをさらに大きい問題解決に活かしたいと思ったこと。3つ目は、子供と一緒に図鑑を見たり、虫を探すといったサイエンスに関わる活動をするなかで、宇宙や星、ロケットは子供がとても喜ぶんです。そうすると私もそこにより興味を持つようになって、公私ともに宇宙産業に興味を持つことが増えているという状態です」
では、なぜ宇宙スキル標準に注目されたのでしょうか。そのきっかけは2025年10月28日に公開した宙畑の記事「【宇宙業界転職の道しるべに】『宇宙開発人材スキル可視化』プロジェクトが生まれた背景と展望」だったとのこと。
「宇宙ビジネスについて勉強を始めて一番印象深かったのは、市場規模のうち7割が衛星を利用したサービスに関する事業であるということです。例えば、ロケットや人工衛星の開発となると(ソフトウェアに関わる)私達は何も関わりようがないと思ってしまいますが、宇宙の成果物を地上でのサービスに生かすみたいな方向性だったもしかして何かできるかもしれないと、会社でやるほどの解像度ではないにしても個人で情報収集を続けていました。
そんな時に宙畑の記事で宇宙スキル標準というものが紹介されているのを見つけました。実際にダウンロードしてみたらExcelのシートにまとめられていて、私のようなソフトウェアエンジニアはエクセルシートを見ると、Webアプリケーションに変えたくなる習性があるんです(笑)。つい、かっとなって、その日のうちに宇宙業界のキャリア診断サービスを作成しました。ですので、あくまでもこれは私個人として開発・リリースしたサービスですね」
データがオープンになると面白いサービスを作る人がどんどん現れる?
なんと、宙畑の記事を通して宇宙スキル標準を知ってからその日のうちにサービスを作ってしまったとのこと。
栗林さんが「スキル標準のようなものをデータとしてどんどんと出してもらえると、私のような人間が勝手に面白いものを考えては創れる」と話されていたことも非常に印象的でした。
「宇宙ビジネスはインターネットの黎明期に似ている」と言われる時があります。インターネットの世界には栗林さんのように面白いものを見つけたらその日のうちに創ってしまうという素晴らしい方が多くいらっしゃるのだと知れたことが、今回、宙畑編集部としての最も大きな発見だったように思います。
今回、栗林さんが作成された「宇宙業界のキャリア診断」では、24の質問に答えるだけでご自身に合った宇宙業界のキャリアを見つけることができます。ぜひ、宇宙ビジネスに飛び込む一歩として診断をしてみてください。
また、宙畑では、非宇宙業界から宇宙業界に転職した方に焦点を当てた連載「Why Space」や宇宙業界のキャリアに関する質問にお答えする企画「宇宙ビジネスキャリア相談室」を公開しています。
ぜひ宇宙ビジネスのキャリアについて興味を持っていただいている方は合わせてご覧いただけますと幸いです。

