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衛星ソリューション

コロンビア、OroraTechの衛星技術を活用した国家的山火事監視プログラムを開始【宇宙ビジネスニュース】

2025年10月30日、コロンビア政府は、ドイツの衛星スタートアップOroraTechの技術を活用した、全国規模の山火事監視プログラムを正式に開始したと発表しました。

2025年10月30日、コロンビア政府は、ドイツの衛星スタートアップOroraTechの技術を活用した、全国規模の山火事監視プログラムを正式に開始したと発表しました。

これはラテンアメリカで初めて、衛星データを用いた国家規模の山火事監視システムを導入する取り組みです。災害リスク管理庁(UNGRD)とOroraTech、そして同社の現地パートナーGeoSpatialとの官民連携によって実現しました。

Credit : OroraTech

OroraTechは2018年にドイツ・ミュンヘンで設立された企業で、熱赤外の衛星データを活用したサービスを展開しています。

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今回導入されたのは、OroraTechのWildfire Solution(WFS)と呼ばれるプラットフォームです。WFSは、30機以上の政府・商用の衛星から得られる地上の熱赤外データとAI解析を組み合わせ、ほぼリアルタイムで山火事を監視します。

生息する生物の種類が世界で2番目に高く、国土の約半分をアマゾン熱帯雨林が占めるコロンビアにとって、山火事の早期検知は極めて重要です。WFSは火災発生時、即座に警報と該当地域の地図情報を提供します。

現場の消防隊や防災機関は、これをもとに(規模の大きさや誤報の除外などは把握して)火災対応の優先順位を判断し、より効果的な対応を取ることができます。これにより、生態系や地域住民への被害を軽減します。

導入に先立ち、すでに700名以上が国家災害リスク管理システムのメンバーとして、WFSの利用方法を学んでいます。2025年5月には、OroraTechのカスタマーサクセスチームが、ボゴタで実地研修を実施し、コロンビアの火災事情に合わせたケーススタディを行いました。

その後も、UNGRD主導の下、 全国で15回以上の研修を開催し、WFSの運用スキルを普及させています。

UNGRDのリスク知識部門副局長であるAna Milena Prada氏は、「この協力により、私たちは現代的な山火事検知・監視インフラへの投資を通じて、国民・環境・生物多様性を守るためのリスクの理解を深めます。このシステムは、脅威を早期に特定し、より迅速に対応できるようにすることで、国内の僻地における機関の活動を支援します。」とコメントしています。

OroraTechのCEOであるMartin Langer氏は、「私たちは、自社技術の導入により、これまで不可能だった方法で、アマゾン熱帯雨林を、私たちの未来のために守っています。UNGRDと協力して全国展開を進めることは、ラテンアメリカにおける山火事管理の重要な節目となるでしょう。」とコメントしています。

今回の取り組みは、ラテンアメリカにおいて、宇宙の技術を防災に活かす先進事例となる可能性があります。衛星データ活用により、地上からの監視だけでは把握が難しい、広大な森林地帯をカバーすることができます。本取り組みが、山火事対策のみならず、生物多様性の保全にも寄与し、周辺地域に広がっていくことが期待されます。

参考記事

Colombia Launches National Wildfire Monitoring with OroraTech – Blogs – OroraTech

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