宙畑 Sorabatake

経営・資金調達

インターステラテクノロジズが国内宇宙スタートアップ最大規模の201億円調達。自動車・金融・ITなど多業種が世界市場での躍進へ伴走を表明【宇宙ビジネスニュース】

シリーズF総額201億円で累計446億円に。自動車・金融・ITなど宇宙以外の業界が結集し、グローバル市場で躍進するための伴走支援を打ち出しています。

2026年1月16日、インターステラテクノロジズがシリーズFで総額201億円の資金調達を完了したことを発表しました。本ラウンドは国内の非上場宇宙スタートアップとして過去最大規模となり、累計の調達額は446億円に達しました。

インターステラテクノロジズは北海道大樹町に本社を置き、「誰もが宇宙に手が届く未来」をビジョンに掲げるロケット開発企業です。2019年には観測ロケットMOMO3号機で国内民間企業として初めて単独での宇宙空間到達を達成しました。現在は小型人工衛星打上げロケット「ZERO」の開発を進めているほか、文部科学省のSBIRフェーズ3のステージゲート審査を通過した3社のうちの1社に選ばれています。

宙畑メモ:SBIRとは
SBIRは「Small Business Innovation Research」の略で、スタートアップ等による研究開発を促進し、その成果を円滑に社会実装することで、我が国のイノベーション創出を促進するための制度です。
SBIRの『民間ロケットの開発・実証』は、2027年度までに国際競争力を持ったロケットの飛行実証を行う企業を支援するプログラムです。2027年度までに2度のステージゲート審査があり、審査ごとに支援企業が絞られます。フェーズ3まで残ると1社あたり最大140億円が交付されます。2024年に発表されたフェーズ2ではインターステラテクノロジズ、将来宇宙輸送システム、スペースワンの3社が通過しています。

リリースによると、今回の資金調達は第三者割当増資148億円と金融機関からの融資53億円で構成されています。リード投資家はウーブン・バイ・トヨタです。調達資金はZERO初号機の開発・製造体制強化、人工衛星の研究開発などに充てられます。

累計446億円という調達額は、米国Rocket Labが2021年の上場前に調達した約2.88億ドル(約448億円相当)と、金額規模としては近い水準にあります。

今回のシリーズFは、調達額の大きさだけでなく、多岐にわたる投資家の顔ぶれも注目ポイントです。自動車産業(モビリティ産業)からはウーブン・バイ・トヨタが参画しています。金融業界からは三井住友銀行、SMBC Edge、SBIグループ、不動産業界からは野村不動産が出資しました。また、通信販売大手のジャパネットホールディングスなど、宇宙産業とは異なる業種のプレイヤーが名を連ねています。

本記事では、シリーズFに参加した投資家の一部を以下で紹介します。

SMBC Edgeは三井住友フィナンシャルグループのベンチャーキャピタルです(旧社名はSMBC ベンチャーキャピタル・マネジメント)。特徴は「投資+事業開発」の二軸モデルによる日本の産業構造変革を目指している点。SMBC Edgeは今回の投資を通じて、単なる資金的支援にとどまらず事業・人的資本の総合的な伴走支援を実施するとのことです。

B Dash VenturesはIT・インターネット分野を中心に投資を行ってきた独立系VC(ベンチャーキャピタル)です。プレスリリースによると、同社にとって宇宙領域への投資は今回が初めてです。技術力だけでなく事業モデルを評価してシリーズFへの参加を決めたとのことです。B Dash Venturesはインターステラテクノロジズに日本のディープテックスタートアップを代表する企業と位置づけています。さらなる成長とグローバル市場での成功に向けた支援を実施していくとのことです。

このように、今回の資金調達は単なる資金獲得だけではなく、技術面・事業面で評価を受けたインターステラテクノロジズを、グローバル市場での競争力を高めていこうとする姿勢がうかがえます。

SBIグループの小野浩之氏(SBIインベストメント部長)は、次のようにインターステラテクノロジズの今後に期待を寄せています。

「宇宙輸送は、拡大を続ける巨大な宇宙市場の産業基盤を根底から支える極めて重要なインフラである一方、日本国内における事業者はいまだ限定的です。そのような環境下において、同社は国内のリーディングカンパニーとして確かな技術力と実行力を有し、将来的にはグローバル市場においても存在感を発揮できると期待しております。新たに参画された心強い投資家の皆様と共に、SBIグループとして事業成長および体制強化に向け、引き続き全面的な支援を行ってまいります。」

インターステラテクノロジズ 代表取締役 CEO 稲川貴大氏は、次のように今後の意気込みを述べています。

「インターステラテクノロジズの技術開発、事業開発、コーポレート・組織面の全社成果を適正に評価いただけたことを大きな励みとして、ロケット事業と通信衛星事業の垂直統合ビジネスを国内外でさらに前進いたします。」

宙畑メモ:垂直統合ビジネスとは
ロケット事業と通信衛星事業の両方を自社で手掛けるビジネスモデルのこと。米SpaceXがロケット「Falcon」と衛星インターネット「Starlink」で展開しているモデルが代表例として知られています。

今回のシリーズFでは、投資家のコメントから「事業モデル」への高い評価が多く見られた点が印象的です。日本の宇宙産業が幅広い産業界から『次の成長市場』として注目されていることをあらためて感じさせる事例といえます。

また、投資家の方々のコメントから、インターステラテクノロジズへの強い支援姿勢が感じられます。日本のディープテックを代表するスタートアップとして、グローバル市場で躍進できるよう力添えしていく意志がうかがえました。多様な業種の知見とネットワークがインターステラテクノロジズに加わります。それにより、サプライチェーン構築、人材流入、市場開拓など技術開発以外の面でも相乗効果が期待できます。

インターステラテクノロジズが有する『地力』と、シリーズF参加投資家による『総合的な伴走支援』が掛け合わさることで、日本発の民間宇宙輸送サービスの実現に向けた動きが、今後一段と加速していくことが期待されます。

参考

シリーズFで総額201億円の資金調達を完了しました

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