宙畑 Sorabatake

衛星

【衛星光通信の技術開発と早期の市場投入へ】ワープスペースが宇宙戦略基金採択とシリーズC調達を発表【宇宙ビジネスニュース】

ワープスペースが宇宙戦略基金とシリーズC調達を獲得。官で技術開発、民で商用化という両輪アプローチで、災害対応や天気予報を支える光通信技術を実現へ。

2026年1月20日、衛星間光通信ネットワークサービス「WarpHub InterSat」の開発に取り組むワープスペースは、シリーズCラウンドでの資金調達を発表しました。同社は2025年12月19日にワープスペースは宇宙戦略基金の技術開発テーマ「衛星光通信の導入・活用拡大に向けた端末間相互接続技術等の開発」に採択もされています。

ワープスペースは茨城県つくば市に本社を置く筑波大学発の宇宙ベンチャーで、宇宙空間における光通信の産業化を目指しています。

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同社は2023年、海外の主要な宇宙業界紙「Via Satellite」で「注目の10社」に選出されるなど、海外メディアからも注目を集めています。

本記事では、宇宙戦略基金、シリーズCラウンド、それぞれについて紹介します。

宇宙戦略基金の採択テーマは、総務省が実施する「衛星光通信の導入・活用拡大に向けた端末間相互接続技術等の開発」です。本テーマの支援総額は最大30億円程度で、2028年度までを目標に技術開発を推進します。

ワープスペースは本テーマにおいて、衛星光通信における端末間相互接続技術およびシミュレーション技術の開発に取り組みます。具体的には、開発中の光通信モデムHOCSAIとデジタルツインシステムDTSの技術基盤を確立します。

宙畑メモ:HOCSAI(ホクサイ)とは
マルチプロトコル光モデムと呼ばれる通信機器。現在、衛星光通信の端末はメーカーごとに規格が異なり、別メーカーの端末同士では通信できないという課題があります。HOCSAIは複数の規格に対応することで、メーカーを問わず相互通信を可能にします。スマートフォンがどのキャリアの電波でも受信できるようなイメージです。

宙畑メモ:DTS(デジタルツインシステム)とは
光通信を利用する衛星の運用プロセス全体をシミュレーションできるソフトウェア。衛星の導入を検討する事業者は、実際に打ち上げる前に通信性能を検証できます。さらに、通信を通じて価値あるデータを安定的に届けられるかどうかも確認できます。

次に、民間資金調達であるシリーズCラウンドについて見てみましょう。

シリーズCラウンドでは、宇宙フロンティア2号ファンドがリード投資家として参加しました。このファンドはスパークス・アセット・マネジメントが運営しています。

宙畑メモ:宇宙フロンティアファンドとは
スパークス・アセット・マネジメントが運営する宇宙産業特化型ファンド。トヨタ自動車、三菱重工業、メガバンク各社などが出資し、日本発の宇宙企業育成と技術革新への貢献を目指しています。

海底ケーブル向け光デバイス技術を持つ精密部品メーカーの湖北工業も既存投資家として参画しているほか、新規投資家として航空・宇宙ビジネスを展開する全日空商事、トヨタの戦略投資子会社であるトヨタ・インベンション・パートナーズ、通信インフラ領域に強みを持つモバイル・インターネットキャピタルが運営するMIC6号投資事業有限責任組合が加わりました。

資金調達のリリースのなかで「海底ケーブル向けをはじめとする高信頼性光デバイス技術を活かして宇宙光通信分野向け製品の開発を進めております。精密部品産業で培ったものづくりの力で宇宙分野にも挑戦しております。今回の追加出資によりワープスペース社との協業体制がさらに強化されることを大変嬉しく思います。同社が実現を目指す宇宙光通信の産業化に貢献してまいります」と湖北工業の代表取締役社長である石井太さんがコメントされていたことは、ワープスペースとの協業が順調に進捗し、これからの協業体制がより強固になることがうかがえ、非常に印象的でした。

また、今回ご紹介した宇宙戦略基金と民間資金調達における開発対象はいずれもHOCSAIとDTSとなっています。では、ワープスペースが推進する事業が実現した先に、どのような私たち地上に住む人の生活の変化があるのでしょうか。

例えば、災害対応が変わります。例えば災害発生時に地球観測衛星のデータをリアルタイムで地上に送信し、被害状況を迅速に把握できます。また、天気予報の精度向上や、漁業・農業などの第一次産業におけるデータ取得効率化、その他様々な業界に波及する経済効果が期待されます。このように、宇宙空間から地上へ常時データを送れるようになれば、私たちの日常生活を支える情報インフラの質が大きく向上するでしょう。

光通信は電波と異なり周波数利用申請が不要であり、また高速・大容量のデータ伝送が可能という特長にも注目です。

ワープスペースのCEOである東宏充さんは、宇宙戦略基金への採択に対して、次のように今後の意気込みを示しています。

「衛星通信が電波から光へとシフトする大きな転換点において、我々の技術がその基盤を支えることに強い責任を感じています。とりわけ昨今は宇宙で光通信を利用できるようにするために米国や欧州でも多くの企業が参画を表面化させ、市場も急速な動きを見せております。本プロジェクトを通じて、日本の宇宙技術が世界のスタンダードとなるよう、スピード感を伴って努めてまいります。」

また、シリーズC資金調達に対して、以下のようにコメントしていました。

「今後は各パートナーとの連携を深め、「HOCSAI」と「DTS」の開発・商用化を一層加速させると共に、宇宙と地上を繋ぐためのデファクト・スタンダードとなることを目指しながら、持続可能な宇宙利用時代の到来に貢献してまいります。」

各国が注目する技術である光通信は、生活インフラの向上が期待されるという点はもちろんのこと、日本としても保持しておきたい技術インフラのひとつとなっています。ワークスペースが今回発表した宇宙戦略基金採択、今回の資金調達によって、早期の技術開発と市場投入・社会実装が加速されることが期待されます。

参考記事

ワープスペース、宇宙戦略基金「衛星光通信の導入・活用拡大に向けた端末間相互接続技術等の開発」事業者として採択

ワープスペース、シリーズCラウンドで宇宙フロンティアファンドをリード投資家として資金調達を実施

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