ソユーズによる有人ロケット打ち上げは12月に【週刊宇宙ビジネスニュース10/22~10/28】

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今週のキーワードは衛星データ。自社では衛星を持たないものの、AI開発により衛星データの解析に力をいれ、得られた情報を利用するサービスを提供するスタートアップが、資金調達に成功しているようです。

【今週(10/22~10/28)のピックアップ】

1. NASAのCubeSatが火星を撮影。今後の衛星開発のトレンドは?
2. 衛星データ利用スタートアップに宇宙ビジネスの投資が加速
3. ソユーズによる有人宇宙船の打ち上げ、今年クリスマスを目途に再開

1. NASAのCubeSatが火星を撮影。今後の衛星開発のトレンドは?

https://phys.org/news/2018-10-nasa-image-mars-cubesat.html

NASAは、将来的な超小型衛星による深宇宙探査に向けて開発された、「MarCO」から送られた火星の画像を公開しました。

MarCOがとらえた火星の画像
Image Credit: NASA

超小型衛星で深宇宙探査が可能かどうか実証することも目的の1つとして、MarCOは打ち上げられました。
「MarCO-A」と「MarCO-B」の2機が同時に打ち上げられ、それぞれピクサーの映画にちなんで「ウォーリー」と「イヴ」という愛称が付けられているようです。
この2機の衛星は、同時に打ち上げられた主衛星である火星探査機「インサイト」のデータの送受信を中継するリレー衛星の役割を担っています。2機のリレー衛星があることで、火星ー地球間の通信が従来よりもスムーズに行えるようになります。これは、将来の火星移住の際にも必要な技術となることでしょう。

CubeSatを含む超小型衛星は、非宇宙用部品・技術の実証や、低コスト化によるミッション失敗時のリスク低減のために開発されてきましたが、最近では実証用途ではなく、超小型衛星を用いたビジネスが行われるケースも増えてきています。

超小型衛星は従来の衛星に比べると安価に早く開発することができるため、多くの衛星を打ち上げて群として運用(これをコンステレーションと言います)することができます。世界最大規模のコンステレーションを保有するPlanet社は3Uサイズの衛星をこれまで数百機打ち上げており、リアルタイムグーグルアースと称されるサービスを提供しています。同様に、船舶や航空機の位置情報などを取得することをミッションとしているSpireは、週に1機の超小型衛星を製造しており、そのスピード感が分かります。

他にも、全球地球通信システムを目指すSpaceXやOnewebのコンステレーションは小型衛星によるもので、SpaceXは400kg級、Onewebは150kg級の衛星によるコンステレーションの構築を目指しています。
将来的には、MarCOミッションで実証した技術を用いて、火星上に通信衛星によるコンステレーションが構築されるかもしれません。

2. 衛星データ利用スタートアップに宇宙ビジネスの投資が加速

民間利用の流れが進むにつれ、投資が加速している宇宙産業ですが、最近は衛星利用のスタートアップに投資が集まっています。今回はシリコンバレーの中心部、カリフォルニアのマウンテンビューのデータ利用スタートアップ企業を3社紹介します。

資金調達に成功している衛星利用スタートアップ
Image Credit: Birdi Ltd.

Orbital Insight
Orbital Insightは、2013年に設立された衛星データ解析企業です。
2015年に約900万ドル、2016年には2000万ドル、2017年に5000万ドルを調達しました。
同社CEOのJames Crawford氏は、過去にGoogle、気象データ解析を行うClimate Corporation、NASAなどに勤めた経験があり、満を持して衛星データ利用ビジネスに参入しました。

同社の提供するデータ利用の代表例が、AIを用いた原油貯蔵量の検出です。衛星が撮影した中東の原油タンクの画像データから、タンクの影の長さなどを分析することで埋蔵量を推定しています。他には、アメリカの小売業の来客者数、自動車の輸出台数などの分析結果を提供しています。

Cape Analytics
Cape Analyticsは、2014年に設立された衛星データ解析企業です。
2016年に1400万ドル、2018年に1700万ドルを調達した、新進気鋭のスタートアップです。

同社は住宅の状況を自動で判別することで、保険会社の不動産関連の手続きを迅速に行えるようにすることを目指しています。
衛星画像など空中から撮影した住宅の画像を利用することで、保険会社は見積もり取得が従来よりも早くなる見込みです。画像からは、住宅の大きさやソーラーパネルの有無、屋根の状態などのデータを抽出し、住宅の保険料を算出するサービスを提供しています。

CrowdAI
CrowdAIは、2018年に設立された衛星データ解析企業です。
2016年に12万ドル、2017年には200万ドルを調達しました。他のスタートアップと比べ、額は少ないですが今後の成長が期待される企業です。

CrowdAIは、顧客が依頼した衛星画像に対し、AIによる分析サービスを提供しているスタートアップです。CrowdAIに画像を送信すると、同社のAIが画像データを識別し、何がどれほど写っているかを検出して依頼した企業へ返却します。

たとえば、港湾の衛星画像の分析を同社に依頼すれば、輸出用コンテナをAIが認識し、その数を知ることができます。市街地の衛星画像であれば、駐車場や道路の車の数を分析し、時間による渋滞状況も分かるようです。

これらスタートアップが多額の資金調達に成功している一方で、宇宙ビジネスへの資金流入を促進する企業も現れています。Spacebitは、ブロックチェーン技術に基づきファンドレイジングをするスタートアップです。現在、大規模な宇宙開発ミッションのほとんどは国家宇宙機関が主導していますが、民間が主体で宇宙開発を進めることができるよう、さまざまな工夫が始まっています。
なお、余談として、日本のベンチャーであるメタップスの佐藤 航陽氏が、ブロックチェーン技術と衛星データを利用した「EXA」というプロジェクトを進めています。

3. ソユーズ宇宙船、次回の有人打ち上げは年内となる見通し

ロシアのソユーズ宇宙船の打ち上げ失敗を受け、NASAは次回のISSクルーの打ち上げは12月中になると発表しました。

2011年のスペースシャトルの退役後、ソユーズ宇宙船はISSにクルーを送ることができる唯一の宇宙船となっています。NASAは、ISSへアメリカ人クルーを打ち上げるたび、1人あたり数千万ドルをロシアに支払っていました。
ただし、ロシアの宇宙計画は近年は技術的トラブルが多発しており、2010年以降では13回のトラブルが起きています。今回の事故を受け、ロシア国内でソユーズ製造の基本技術が継承されていないのでは、との声も上がっている状況です。

以前から、アメリカでは有人宇宙船の開発は行われていましたが、今回の失敗はその開発を加速させる結果となりました。
いま開発が進んでいる主な有人宇宙船は、Blue Originのニューシェパード、SpaceXのドラゴン、そしてBoeingが開発しているスターライナーです。ドラゴンとスターライナーは、特にISSへの宇宙飛行士輸送に向けて開発されています。

ドラゴンは2019年4月に、スターライナーは2019年半ばに打ち上げを目指して開発が進められています。ドラゴンを打ち上げるためのロケットのエンジン評価も順調に行われているようです。

衛星利用、Cubesat、そして有人宇宙船など、新たな発展が増えてきているように思います。
資金調達はスタートアップの生命線であり、その仕組みづくりも重要です。

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