宙畑 Sorabatake

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「international」と「global」の違いは? 第4回「今週のSPACE ENGLISH」

日本語では同じ意味のように聞こえても英語だと違うニュアンスとなってしまう単語があるようである。たとえばISSの頭文字のひとつである「international」も。

英語が苦手で最新の宇宙ビジネス情報をキャッチするのに四苦八苦。そんな宙畑編集部員T.N.と一緒に、宇宙ビジネスで使用される英単語を学ぶ本連載。

今週は4/15~4/21の7日間で「SpaceNews」内で最も頻繁に出現した英単語(※これまでに同連載でご紹介した英単語を除く)を10個ご紹介します。

それではさっそく、Let’s 今週のSPACE ENGLISH!!

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
集計対象記事:「SpaceNews」で該当期間に公開された記事のすべて
集計期間:2018/4/15~2018/4/21
※()内の数字は該当期間の登場回数です

1.National(76)

国家の、国民の、国立の。「national security = 国家安全保障」といった使われ方をよく見かける。他、アメリカの宇宙政策について大統領にアドバイスをすること、民生、商業、国家安全保障の各宇宙分野の政策調整を図ること等を目的として、1989 年に設置された国家宇宙会議「National Space Council(NSpC)」でもnationalという英単語が登場している。

2.dream(62)

夢。今回頻出したのは、次に紹介する「chaser」と組み合わせて使われていたため。「Dream Chaser」については「chaser」の説明で詳述している。「realize the American dream = アメリカンドリームを実現する」という使われ方も見かけ、記事を読んでわくわくするポイントのひとつである。

3.chaser(56)

追うもの。強い酒をストレートで飲む場合、続けて口直しに飲む水、炭酸水や軽い酒のこと、という意味もあるが、「SpaceNews」においてお酒の話はほとんど出てこない。

今回は「dream」の説明でも書いたように、「Dream Chaser」というひとつの固有名詞として頻出した。「Dream Chaser」はシエラ・ネヴァダ・コーポレーション (SNC) が開発に着手している、有人宇宙飛行も見据えた有翼の宇宙船である。また、ISSへの貨物輸送とISSからの物資回収も可能な次世代スペースシャトルとして、NASAから受注を獲得している。直近の記事では2020年までに最初のテストフライトを予定していると記載されていた。

4.symposium(51)

討論会。今回頻出した要因は「Space Symposium」が直近行われたからである。「Space Symposium 」は1年に一度アメリカ・コロラドスプリングスで開催されるアメリカ最大の宇宙関係の祭典。産学官が一同に会し、様々な議論が行われる。開会式には花火も打ち上がる。宙畑もいつか潜入したい。

5.companies(51)

第1回で登場した「company(会社)」の複数形。ロケットサービス提供会社しかり、衛星に関わる会社しかり、「companies building small launch vehicles launch companies」というように、宇宙ビジネスに関わっている会社を記事で紹介する場合、基本的には「companies」と複数形を用いられている。日本では小型ロケットに関わる会社といえば……と言うとインターステラテクノロジズ1社のみ頭に浮かぶだろうが、海外に目を向けると「Vector Space Systems」「Rocket Lab」と複数の会社が我先にと競合しているのだ。日本も頑張りたいところだ。

6.international(47)

国際的な。国際的な、という意味ではGlobalとInternationalは同じ単語のように思えるが、実は明確な違いがある。接頭語 Inter-には「~の間」という意味があり、Nationalは国のためInternationalは国家間のというニュアンスがある。つまり、含まれていない国もある。

一方のGlobalはGlobe(全球)という意味の「国際的な」である。つまり、全世界が含まれる。ちなみに国際宇宙ステーションは、第3回で紹介したように「ISS(International Space Station)」であり、参画している国は15カ国のみである。

7.small(46)

小さい。「small satellites = 小型衛星」「small launch vehicles = 小型ロケット」と最近のトレンドは宇宙開発における小型化のようだ。一方で小型化によってカメラの性能や燃料の量、電池寿命など、宇宙でできることの制約もあるため、今後の宇宙ビジネスの成功には小型化とセットで地上の宇宙以外の技術の進歩も重要なのだ。

8.president(45)

大統領、社長、会長。宇宙ビジネスは政府予算との兼ね合いが大きい部分もあり、「president said = 大統領は言った」「vice president said = 副大統領は言った」など、偉い人の話が記事に登場することがしばしば。

9.years(44)

第1回で紹介した「year」の複数形。「take nine years to ~ = ~するのに9年かかる」「in two years or less = 2年以内に」といった使用例をよく見かける。やはり宇宙開発は時間がかかるものである。政府が求める期限内に開発を終わらせなければ契約不成立となってしまうリスクもあり、気が長いようで難易度が高いため、実際にはスピードが求められる産業である。

10.orbital(43)

軌道の。「orbital debris = 軌道上のゴミ」「orbital velocity = 軌道速度」といった使われ方もよく見かけるが、今回頻出したのは「Orbital ATK」である。「Orbital ATK」はアメリカの大手衛星メーカーであるが、今回頻出した要因と思われる記事は、「OmegA」と銘打たれた新型のロケットへの投資について述べたものである。その中で「Orbital ATK」の広報担当者は今後数年間で最大の戦略的投資になると述べていた。この投資が成功することは衛星の製造価格を抑えることに作用すると考えられている。

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以上、第4回「今週のSPACE ENGLISH」いかがだったでしょうか。

次回の「今週のSPACE ENGLISH」は5/6(日)に4/22(日)~4/28(土)に公開された「SpaceNews」記事の最頻出英単語TOP10(これまでに紹介した英単語は除外)をご紹介します。

これまで英語が苦手でなかなか海外の宇宙ニュースを敬遠していたという方も、「今週のSPACE ENGLISH」で少しずつ宇宙英単語を学んで海外の宇宙ニュースにチャレンジしてみましょう!

執筆者:トウモロコシ担当T.N.
※これまでの「今週のSPACEENGLISH」はこちら

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