衛星ビジネスのボトルネックは小型衛星の打ち上げ機会
近年、小型衛星と呼ばれる通常の衛星よりも小さな100kg以下程度の衛星が流行っていますが、課題はまだ多いようです。
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衛星の小型軽量化のワケはロケット打ち上げ費用
近年、小型衛星と呼ばれる通常の衛星よりも小さな100kg以下程度の衛星が流行っている。従来のように1機に様々なミッションを詰め込むのではなく、敢えてミッションを絞り衛星自体を小型軽量化する傾向がある。
では、小型軽量化が必要になるのはなぜか。最大の理由は、”ロケットの打ち上げ費用の削減”である。衛星を宇宙に持っていくためには、ロケットで打ち上げる必要があるが、この打ち上げ費用が高い。日本のロケットH2Aは約100億円と言われている。
一方で衛星自身の開発費用は、比較的低価格と思われるはやぶさ2で150億円前後であり、ロケットの打ち上げ費用がどれほど大きな割合を占めているかが分かる。
ロケットの打ち上げ費用は、衛星の質量・大きさに応じて高くなる。より重い衛星を打ち上げるためには、より強力なロケットが必要であり、打ち上げ費用も高くなるというわけだ。
逆にある程度小さくできれば、一つのロケットに複数の衛星が”相乗り”することが可能になり、打ち上げ費用を抑えることができる。
したがって、衛星サービスを考える会社や衛星製造会社はこぞって衛星の小型軽量化を進めようとするわけだ。
打ち上げ機会マッチングサービス
ところが、衛星を小型軽量化して、その分、たくさん打ち上げようとした結果、今度はロケットの供給が追いつかなくなる事態が発生し始めている。
そこで登場したのが打ち上げのマッチングサービスだ。ホテルや飛行機のチケットを予約するサイトのように、世界中のロケットの空き状況を集約し、衛星を打ち上げたい人たちに提供していることによって、ロケットの打ち上げ機会を最大限に活用することができる。
最近この分野に参入してきたのが、Precious Payloadだ。設立したAndrey Maksimov氏はもともと衛星通信の会社で働いており、打ち上げ機会がボトルネックになっていることに気づいたという。
もっとも、この分野ですでに実績を積んでいる企業もある。その一つがオランダのInnovative Solutions In Space (ISIS)だ。今年2月には、インドのロケットPSLVの相乗りとしてなんと101機の小型衛星の打ち上げを行った。
NanoRacksも小型衛星向けの打ち上げサービスを提供している。NanoRacksは国際宇宙ステーションからの小型衛星の放出ビジネスで知られているが、衛星の中には宇宙ステーションから放出される軌道では、ミッションが行えないものもある。NanoRacksもインドのロケットを用いた打ち上げサービスの提供を計画している。
後発企業となるPrecious Payloadはどのようなビジネスモデルを描いているのか、注目したい。
今週の英語フレーズ
“When I started to engage with different companies, I easily recognized that the bottleneck, the biggest problem for them, is actually to find a space launch,” he said.
『いろいろな会社と関係し始めて、すぐにボトルネック、最大の問題は打ち上げ機会を見つけることだと気づいた』と彼は言った。
2017/08/17, SPACE NEWS, Options grow for smallsats seeking secondary payload opportunities,