インターステラテクノロジズで話題の小型ロケットはタクシーと同じ!?

■インターステラテクノロジズ、MOMO2号機打ち上げ迫る

2018年4月28日、インターステラテクノロジズがMOMO2号機を打ち上げる。
去年、打ち上げに失敗した初号機のリベンジだ。目標としていた高度100kmを再び目指す。

2017年12月に実施したクラウドファンディングでは、2,800万円以上の資金を集めることに成功した。また、日本旅行と業務提携し、打ち上げ場の見学ツアーも組まれることも発表された。国民的な注目は、間違いなく集まっていると言えるだろう。

ただ、注意したいのは、打ち上げが成功したら、終わりではなく、ロケットの打ち上げが成功してもロケットサービス提供会社としての売上は計上されない。

ロケットは、衛星を宇宙まで運ぶ運送屋である。飛行機や電車、トラックと同じでヒト・モノを目的地に届けることではじめてお金が発生する。

宇宙開発へ注目が集まっていることは歓迎されるべきことであり水を差すつもりはないが、宙畑ではロケットビジネスとしての視点で、本事業について考えてみたい。

   

■小型ロケットビジネスはタクシービジネス

インターステラテクノロジズは小型ロケットの開発を行っている。先に述べた通り、ロケットは衛星の運送屋であるので、小型ロケットということはすなわち小型の衛星を宇宙に運ぶための輸送機である。

この”小型衛星”というのが、今、宇宙業界では流行っている。性能は劣るが、小さく安く作って、数をたくさん宇宙にあげることで従来にないサービスを展開しようというものだ。

小型衛星の宇宙への輸送手段は、主に2通りある。大型ロケットで複数の衛星をまとめて宇宙まで運ぶパターンと、小型ロケットで単独の衛星を打ち上げるパターンである。今までは、大型ロケットが主流であったが、最近では小型ロケットの開発を行っているベンチャー企業も多い。

大型ロケットと小型ロケットの関係を例えるなら、路線バスとタクシーである。

あなたがとある目的地に行きたい時、路線バスの場合は、目的地に一番近いバス停で降りるしかなく、バス停から目的地までは徒歩で歩いていかなければいけない。発車時間も決まっていて、好きな時間に行くことはできない。しかし、みんなで相乗りしているので、料金は安い。

一方、タクシーの場合、目的地のすぐ近くまで行ってくれる。事前に電話をしておけば、自分の都合の良い時間に合わせて運行してくれる。ただし、その分バスよりも高い。

同じことがロケットにも言えるのである。

大型ロケットは、みんなで相乗りしている分、衛星1機あたりの費用は安いが、目的地は自由に選べず、打ち上げのタイミングも制約がある。一方で、小型ロケットでは目的地や打ち上げのタイミングを自由に選べるが、その分費用はお高めである。

では、目的地の宇宙へ、小型ロケットを使いたいという需要は、ビジネスが成り立つほどにあるのだろうか。

100kgの超小型衛星を宇宙へ運びたいという顧客を例に、小型ロケットに期待されるものをもう少し深掘りしてみよう。

   

(1) 打上げの頻度

まず、大型ロケットの打上げの頻度に目を向けてみる。

Spaceflight IndustriesのWEBサイトを参考にすると、2018-2019の2年で100kg級の衛星が打ち上げられる機会は14回ある。3カ月に2回は打上げがある計算である。さらに、今後ロケットの打ち上げ数は増えていくことが予想される。

ただし、これらのロケットは行き先(軌道)が異なり、すべての衛星が3カ月に2回チャンスがあるわけではない。スピード感を持ってビジネスを立ち上げたいベンチャー企業にとって、この頻度は十分とは言えないだろう。

   

(2)金額の差

では、金額の面ではどの程度差があるのだろうか。

大型ロケットに相乗りとして搭載する場合、その相場はSpaceflight industriesのWEBサイトによると、100kgの衛星の価格は約400万米ドル程度である。大型ロケットは昨今の価格競争の中で、価格低減を謳った新しいロケットの開発を発表している。

例えば、商用ロケット打ち上げ市場で圧倒的な経験を誇る欧州のArianespaceは現在使用しているAriane5の次号機としてAriane6の開発を行っているが、Ariane6はAriane5と比較し、重量当たり40~50%の打ち上げ費用の削減が可能となるという。

日本の新型ロケットH3も同様に、従来のH2Aロケットの半額に相当する約50億円での打上げを目指して、開発を進めている。
※Arine6、H3ともに2020年に初号機の打ち上げを予定

つまり、100kg衛星の打ち上げコストは、2020年には200万米ドル程度になっている可能性がある。

一方、小型ロケットベンチャーはというと、ニュージーランドに射場を持つRocket labのElectronというロケットが、100kgまで打ち上げ可能で500万米ドル以下を目指している。

すなわち、100kgの衛星にとって、小型ロケットは大型ロケットに比べて倍以上の値段がする移動手段なのである。

超小型衛星打ち上げの値段表(Spaceflight industriesより)
Image Credit: Spaceflight industries

   
以上の考察より、小型ロケットビジネスは打上げタイミングの柔軟性の点で大型ロケットに優位であるものの、金額の面では衛星自体の製造費用が数千万~数億円だとすると、もう1機製造できてしまうレベルの価格差があると分かる。

現時点においては、小型ロケットに価値を感じてあえて高い金額を支払いたいという需要は正直なところ多くはない。

ただし、現在超小型衛星が盛り上がっているのは事実であり、小型ロケットで打ち上げたいかどうかはさておき、今後小型衛星の打ち上げ機会は確実に増える見通しだ。

すなわち小型ロケットの成功は、小型衛星の成功にかかっている。
   
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