エアバス 宇宙分野の売上げ低迷により2,300名の雇用を削減【週刊宇宙ビジネスニュース 2/17〜2/23】
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エアバスがドイツとスペインを中心に防衛・宇宙部門の人員削減
2月19日、欧州の航空機メーカー・エアバスは、防衛・宇宙部門の人員削減について、欧州労使協議会と協議を開始したことを明らかにしました。
戦闘機からドローンや衛星までを幅広く手がける防衛・宇宙部門は、部門全体で34,000名のスタッフを雇用していて、2021年末までに7%に当たる2,300名以上のスタッフを削減する見込みとのことです。
過去12カ月には、衛星メーカーでフランスに本社を置くThales Alenia Space社は6%にあたる約500名、米国のMaxar Technologies社は3%にあたる約250名の従業員削減に踏み切りました。静止衛星の注文数が数年にわたって低迷し、各国の衛星メーカーの苦労が伺えます。
今回エアバスが雇用削減を予定している人員の内訳は、ドイツで829名、スペインで630名、フランスで404名、英国で357名、その他の国で142名にのぼります。
もっとも人員削減が多いドイツでは宇宙ベンチャーの動きも活発で、実際に17億円を調達したロケットベンチャー・Isar Aerospaceが構造系エンジニアや推進系エンジニアをはじめ幅広いポジションで人材を募集をしています。
削減される人員の職位は発表されていませんが、各国の宇宙スタートアップ企業にとっては優秀な人材を囲い込むチャンスと言えるかもしれません。
中国 コロナウイルス感染拡大の中、技術実証衛星の打ち上げに成功
2月19日に中国・航空宇宙科学技術公司(CASC)は、西昌衛星発射センターから、長征2Dロケットによって4基の技術実証衛星の打ち上げに成功したことを発表しました。
新型コロナウイルスこと、COVIT-19の流行を受けて、工場の営業停止などが心配される中国ですが、国営衛星メーカー・中国運載火箭技術研究院(China Academy of Launch Vehicle Technology 通称CALT)傘下のCapital Aerospace Machineryは、、旧正月休暇を取り、その後活動に復帰したとコメントしています。
中国は今年1月初旬に、2020年には月面や宇宙インフラ構築ミッションを含む40回以上の打ち上げを計画していると述べていましたが、今後COVIT-19の感染拡大がミッションにどの程度影響を及ぼすかは不透明です。
中国独自の宇宙ステーション構築に向けて4月に打ち上げか
さらに中国は独自の宇宙ステーション「天宮」の構築に向けて、4月に打ち上げを予定しているとのことです。
天宮の3Dモデル
天宮は2022年に完成する計画で、面積はISSのおよそ3分の1程度。天宮構築の目的には、大型宇宙空間施設の建造・運営技術、宇宙飛行士の軌道飛行上の生活と健康を保証する技術、国家宇宙実験施設を建設および科学者への研究プラットフォーム提供の3点が掲げられています。
2019年に運用が終了した天宮2号機内では地球から輸送した水を使用していたのに対し、天宮ではISSと同様に、宇宙飛行士が吐き出す水蒸気と尿をリサイクルして水を生成することが可能になります。
4月に打ち上げる長征5号Bは、2016年に運用が開始された長征5号の後継機。中国は、宇宙ステーションの構築と宇宙飛行士の輸送を想定して長征5号Bを開発しました。
中国は昨年、国連宇宙部(UNOOSA)と共同で、天宮で実施する実験計画を募集し、フランスやドイツ、日本のほか、サウジアラビアやケニア、ペルーなど計17カ国の研究機関から、9件のプロジェクトを採択しました。天宮の構築によって、宇宙空間での科学技術実験が活発化することが期待されています。
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