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Space Perspectiveが成層圏気球による旅行事業を発表【週刊宇宙ビジネスニュース 6/15〜6/21】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

Space Perspectiveが成層圏気球による旅行事業を発表

商業宇宙ビジネスに取り組む企業に、また新たなベンチャー企業が加わりました。

JANE POYNTER氏・TABER MACCALLUM氏・CHRISTOPHER KIDD氏の3名によって創業されたSpace Perspectiveが、成層圏気球と有人カプセルを用いた上空30kmまでの旅行ビジネスに取り組むことを発表しました。

上空30kmの領域は成層圏に位置づけられ、宇宙空間ではありません。(宇宙空間は上空100km以遠)しかし、成層圏でも空気は薄く、周囲は暗く、地球が球であることは実感できる高度となっています。Space Perspectiveが取り組む事業は、いわば模擬宇宙旅行と言えるサービスとなるでしょう。

Space Perspectiveが開発するカプセルはSpaceship Neptuneと名づけられており、上昇と下降にそれぞれ2時間、成層圏の縁飛行に2時間で合計6時間の飛行が可能となっています。また、このカプセルには8名の乗客が搭乗でき、予定料金は1人12万5000ドル(約1300万円)とのことです。

成層圏気球Spaceship Neptuneのイメージ図 Credit : Space Perspective

Spaceship Neptuneは、フロリダのNASAケネディ宇宙センターの旧シャトル着陸施設から打ち上げられる予定です。

POYNTER氏とMACCALLUM氏は、無人気球の開発に取り組むWorld View社の創業にも尽力し、それぞれ同社のCEOとCTOを務めていました。2人はWorld View社のCEOとCTOを退任し今回Space Perspectiveを立ち上げ、新たに有人気球旅行に取り組むようです。

Space Perspectiveのメンバー一覧には、気球開発の経験が豊富なメンバーが名を連ねています。気球旅行に関する熱量と経験が豊富なSpace Perspectiveに、引き続き注目です。

Spaceship Neptunenに乗客が乗り込むイメージ図 Credit : Space Perspective

アメリカ国防総省が小型ロケット会社6社に支援を発表

アメリカ国防総省(DoD)は、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けた国内産業を救済するために、小型ロケット企業6社に対し相乗り打ち上げの契約を締結することを発表しました。具体的には、政府のペイロードを各社2機(合計12機)に発注する契約内容で、24ヶ月間以内に履行されます。

米国では、3月27日にコロナウイルス救済・救済・経済安全保障(CARES)法が議会で可決されています。同法案では、国防に関する事業に10億ドルを提供し、国内の産業基盤能力を強化させることを目的としています。

小型ロケット事業は、航空機製造や造船とともに、新型コロナウイルスによる財政悪化の影響を最も受けたと国防総省が指摘した部門の一つです。

今回の6社の一つのAstraのロケット Credit : Astra

今回採択された6企業は以下の通り。

  1. ・Aevum
    ・Astra
    ・X-Bow
    ・Rocket Lab
    ・Space Vector
    ・VOX Space

 

The System for Award Management (SAM)の今回の声明によると、今回の契約付与は、エレン・ロード国防次官補が率いる国防総省の産業基地評議会(Industrial Base Council)による指示で実現したようです。

新型コロナウイルスによる財政悪化に対して民間企業への支援を積極的に実施する動きは、アメリカ政府の宇宙ビジネスへの期待も伺えるといえるのではないでしょうか。

The Digital Earth Africa (DE Africa)がアフリカ全域の衛星データプラットフォームを公開

The Digital Earth Africa (DE Africa)は、欧州宇宙機関(ESA)の衛星Sentinel-2の画像を用いた、アフリカ全域の衛星データプラットフォームを公開したことを発表しました。

このプラットフォーム上に公開されているSentinel-2のデータは、10mの解像度で5日ごとに更新され、誰もがアフリカ全土の衛星画像を利用・解析することができます。

今回のプラットフォームの公開は、Sinergise・Element 84・Amazon Web Services(AWS)・地球観測衛星委員会(CEOS)などの協力によって実現したとのことです。

マダガスカルのベチボカ川河口を撮影したSentinel-2によるフォルスカラー画像 Credit : Digital Earth Africa

DE Africa Mapの詳細については、こちらのビデオで紹介されています。

また、Digital Earth Africaは、DE Africa sandboxという開発環境も提供しています。
DE Africa sandboxはTellusと同様にJupyter Labを採用しており、プログラミング言語のPythonを使用することで衛星データをより詳細に解析することができます。

DE Africa sandboxの最新アップデートにより、Sentinel-2の衛星データを用いたアニメーション・画像のセグメンテーション・輪郭抽出なども可能になっています。
DE Africa sandboxの詳細については、こちらのビデオで紹介されています。

アフリカを舞台にした衛星データの利活用事例も今後増えていくことが期待されます。

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