ミサイルと宇宙開発の意外な関係 第21回「今週のSPACE ENGLISH」
今週は防衛関係の宇宙ビジネスの話題が目立ちました。
英語が苦手で最新の宇宙ビジネス情報をキャッチするのに四苦八苦。そんな宙畑編集部員T.N.と一緒に、宇宙ビジネスで使用される英単語を学ぶ本連載。
今週は8/12~8/18の7日間で『SpaceNews』内で最も頻繁に出現した英単語(※これまでに同連載でご紹介した英単語を除く)を10個ご紹介します。
それではさっそく、Let’s 今週のSPACE ENGLISH!!
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集計対象記事:『SpaceNews』で該当期間に公開された記事のすべて
集計期間:2018/8/12~2018/8/18
※()内の数字は該当期間の登場回数です
missile (25)
ミサイル。
「Space and Missile Systems Center」で米国空軍の宇宙ミサイルセンターのこと。軍用の宇宙システムをつかさどっています。
世界初の人工衛星はロシアのスプートニクという衛星ですが、実はその衛星の技術者たちは、ミサイル開発を行っていたという話があります。ミサイルの場合、一度大気圏を超えた後、再び大気圏に突入し、地球に戻ってこなければならないため、この技術が難しくて思うように開発が進まなかったそうです。
開発の成果を求められた技術者たちが、やむなくミサイルの先に衛星を搭載して飛ばし、大気圏に再突入しなくてもよいロケットに転用した、というのが、宇宙開発のはじまりと言われています。
最近では、人工衛星からミサイルの早期警戒を行う取り組みが進んでいます。中国の超音速ミサイルに対抗するためのようです。
security (20)
安全。national securityで安全保障と訳されます。
宇宙開発と安全保障は切っても切れないないものとなっています。
griffin (18)
Michael D. Griffin。アメリカの調査および工学担当の国防次席次官補です。
上述の流れで、発言していたことでランクインしました。
approach (16)
近づく。目標に対してどのように近づいていくのかを表します。以下の文脈で利用されました。
今週の英語フレーズ
Viasat’s approach to globalization is to “really understand each market and be able to deliver services to end users in those markets, not just sell to intermediaries,” he said.
Viasatのグローバル化へのアプローチは「それぞれの市場を真に理解し、単に仲介業者に販売するだけでなく、それぞれの市場のエンドユーザーにサービスを届けられるようになること」であると彼は語った。
Viasat’s Dankberg explains medium Earth orbit thinking, global expansion strategy
reusability (16)
再利用性。
ロケットのコスト低減の切り札としてよく語られます。
アメリカのスペースシャトルは再利用できる宇宙往還機というコンセプトで開発されましたが、予想以上に検査・修復費用がかかり、結果としてコスト低減にはつながらなかったという歴史があります。
最近では、SpaceXやBlue Originが再利用ロケット開発を牽引しています。一度打ち上げたロケットが地上に戻ってくる技術は圧巻ですが、キーポイントはその後の検査と修復をいかに安く正確にできるか、です。スペースシャトルと同じ轍を踏まないように気を付けなければなりません。
今週はExos Aerospaceというアメリカの企業が開発するSARGEという再利用できる小型ロケットの話題で盛り上がりました。
3Dプリンターなど製造側の技術革新が進み、製造コストが落ちていく中で、再利用ロケットが本当にコスト低減の切り札なのかは注視する必要があります。
acquisition (15)
買収。M&Aでmerger and acquisition、すなわち合併と買収することを表します。M&Aにより今まで自社になかった技術やチャネルを手に入れることができます。
海外では宇宙関連企業のM&Aが盛んに行われています。
近年だと、カナダの宇宙製造業MDAがアメリカ政府市場のチャネルを手に入れるために、アメリカ衛星製造大手のSpace Systems Loralを買収、さらに衛星画像販売大手のDigital Globeも買収し、衛星製造から衛星画像販売・解析までバリューチェーンを網羅した例があります。
今週は、衛星製造大手のBoeingが超小型衛星の製造に強いMillennium Space Systemsを買収したというニュースもありました。超小型衛星の盛り上がりを受けて、衛星製造大手は各社その技術の獲得を模索しています。
statement (14)
声明・宣言・発表。公式文書。
「in a statement 発表の中で」という形でよく用いられます。
developed (14)
開発された。
developed country が先進国、developing countryで発展途上国を表しますが、宇宙産業でも開発が終わっている(軌道上実績がある)のか、開発中なのかがとても大事になります。
urthecast (14)
カナダの地球観測サービスを計画しているスタートアップ。
国際宇宙ステーションにIrisという1m解像度のビデオカメラを取り付けていました(現在は中止)。
同社は、OptiSARという16機の0.5m解像度の光学センサと1mSARセンサを合わせた地球観測衛星群や、5m解像度のUrtheDailyという衛星群などを計画しています。
issue (13)
(議論すべき)問題。
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以上、第21回「今週のSPACE ENGLISH」いかがだったでしょうか。
次回の「今週のSPACE ENGLISH」は9/2(日)に8/19(日)~8/25(土)に公開された「SpaceNews」記事の最頻出英単語TOP10(これまでに紹介した英単語は除外)をご紹介します。
これまで英語が苦手でなかなか海外の宇宙ニュースを敬遠していたという方も、「今週のSPACE ENGLISH」で少しずつ宇宙英単語を学んで海外の宇宙ニュースにチャレンジしてみましょう!
※これまでの「今週のSPACEENGLISH」はこちら
今週の英語フレーズ
They may cause interference issues, or bump the target satellite to take it out of service.
彼ら(中国)は電波干渉の問題を引き起こし、標的となる衛星を攻撃し動かなくさせてしまうだろう。