宙畑 Sorabatake

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元NASA長官のグリフィン氏がRocket Labの取締役として参画【週刊宇宙ビジネスニュース 8/10〜8/16】

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元NASA長官Mike Griffin氏がRocket Labの取締役に

小型ロケットベンチャーのRocket Labは、7月に国防次官を辞任したMike Griffin氏を新たな取締役に迎えたことを発表しました。

Griffin氏はこれまで政府と宇宙産業界の双方に関わってきました。国防次官を務める前は、2005年から2009年までNASA長官を務めています。宇宙産業界では、Griffin氏は1990年代にOrbital Sciences Corporationの幹部として宇宙システムグループを率い、後にSchafer Corporationの会長兼最高経営責任者を務めました。その他、中央情報局(CIA)が設立したベンチャーキャピタルであるIn-Q-Tel率いた経験もあります。

Griffin氏がRocket Labの取締役に加わった一番の理由は、Rocket Labが米国政府とのビジネスを成長させようとしているためと見られています。同社は、DARPA・NASA・NRO(国家偵察局)から打ち上げ契約を獲得しており、Electronの打ち上げを多数控えています。

Griffin氏はRocket Labの発表の中で、以下のコメントを出しています。

“Space continues to be a highly contested domain crucial to our national security, and it’s also a domain that presents significant commercial opportunity. The Rocket Lab team has a proven track record of executing on a clear vision to make space accessible to these diverse communities, and I look forward to supporting that vision.”
(訳:宇宙という領域は、国家安全保障にとって極めて重要であり、商業的にも重要です。Rocket Labのチームは、宇宙へのアクセスを容易にするという明確なビジョンを実行してきた実績があり、そのビジョンをサポートすることが楽しみです。)

小型ロケット界のリーディングプレイヤーであるRocket Labに引き続き注目です。

講演するMike Griffin氏 Credit : Caleb Henry/ SpaceNews

ドイツの新興ロケットベンチャーHyImpulseは2022年後半の打ち上げを目指す

ドイツ宇宙機関DLRのエンジニアが立ち上げた新興ロケットベンチャーであるHyImpulseが、2022年後半の初飛行を目指してハイブリッドロケット開発に取り組んでいることを明かしました。

HyImpulseは、パラフィン(炭素原子の数が20以上の炭化水素化合物)と液体酸素を用いるハイブリッドロケットエンジンを採用しており、高度400kmの地球低軌道(LEO)に500kgのペイロードを軌道投入できると発表しています。

宙畑メモ
ハイブリッドロケットとは、固体・液体のように相の異なる酸化剤と燃料を用いたロケットのことです。一般的には固体の燃料と、液体か気体の酸化剤が用いられます。

2004年に世界で初めて民間企業による有人宇宙飛行を実現したScaled Compositesが開発したSpaceShipOneには、ハイブリッドロケットエンジンが搭載されていました。

Mario Kobald氏を始めとするHyImpulseの共同創業者3名は、シュトゥットガルト大学で航空宇宙工学を専攻し、2016年にHeros 3と呼ばれる弾道飛行ロケットを高度32.3kmまで打ち上げ、学生用ハイブリッドロケットの打ち上げ高度世界記録を樹立しています。

HyImpulseは来年3月にスウェーデンのEsrange宇宙センターから新しい弾道飛行ロケットを打ち上げ、新型ハイブリッドロケットエンジンの試験をする計画だとMario氏は述べています。

HyImpulseが開発する10kNのHyPLOX10エンジンの燃焼試験の様子 Credit : HyImpulse Source : https://www.youtube.com/watch?v=qiartiM4lsQ

HyImpulseは、今年の7月にDLRが開催したスタートアップ企業向け小型ロケットコンペで、Isar AerospaceRocket Factory Augsburgと共に最後の3社に選ばれ、約60万ドルを獲得しています。

3社はこの後も開発を続け、2021年に最終1社が選ばれ、賞金1300万ドルをDLAから獲得することができます。HyImpulseもこの最終賞金獲得を目指しています。

ハイブリッドロケットエンジンを採用している企業は、Virgin GalacticやノルウェーのNammoやオーストラリアのGILMOUR SPACE TECHNOLOGIESなどがあります。ハイブリッドロケットは、比較的取り扱いが簡単であるという利点があるものの、まだまだ技術的な壁が多数あるのが現実です。

今後のHyImpulseのロケット開発に注目したいと思います。

HyImpulseの社員 Credit : HyImpulse

Northrop Grummanが、2機目の静止衛星寿命延長機の打ち上げに成功

Northrop Grummanと子会社のSpaceLogistics LLCが開発する静止衛星寿命延長機MEV-2が、Ariane5で無事に打ち上げられました。Northrop Grummanは、民間の静止衛星を対象とした軌道上サービスを展開するためにSpaceLogistics LLCで静止衛星寿命延長機の開発を進めており、今年初めに静止衛星寿命延長機MEV-1と通信衛星インテルサット901とのドッキングに成功しています。

今回打ち上げられたMEV-2は今後約5か月をかけて静止軌道に向かい、老朽化した通信衛星Intelsat 10-02とドッキングし、運用寿命を延ばすことになります。MEV-2がIntelsat 10-02と5年間ドッキングして航行しミッションを完了すると、MEV-2は他の衛星オペレータと契約できるようになり、新たな衛星のもとへ航行を開始する予定です。

軌道上の人工衛星の燃料を補給し寿命を延ばすなどのビジネスは軌道上サービスと呼ばれ、自社の人工衛星(サービス衛星)が顧客の人工衛星(クライアント衛星)に対してサービスを提供します。

軌道上サービスについての詳細は、こちらの記事をご覧ください!

人工衛星の利用が増加の一途をたどる中、衛星の寿命を延ばすことができる軌道上サービスは非常に価値があります。Northrop GrummanとSpaceLogistics LLCの今後の取り組みに期待です。

MEV-2分離の様子 Credit : Arianespace

また、日本人宇宙飛行士の野口聡一氏が搭乗するSpaceXクルードラゴンの打ち上げ日が、10月23日に設定されました。

民間宇宙船に日本人宇宙飛行士が搭乗することで、また新たな歴史の1ページが開かれます。スペースシャトル、ソユーズ、そしてクルードラゴンという3種類の宇宙船に搭乗する野口聡一宇宙飛行士の活躍に注目です。

訓練する宇宙飛行士の様子。右に座るのが野口聡一宇宙飛行士 Credit : SpaceX

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